服にくっつく草のタネ、「ひっつき虫」のひみつ

わぴちゃんさんぽ

 今の季節、野山を歩くと、服が植物のタネまみれになってしまうことがあります。これらのくっつくタネは、総称して「ひっつき虫」と呼ばれています。晩秋から初冬にかけては、このひっつき虫が特に目立つ季節でもあります。


 植物は動くことができないため、少しでも自分のタネを遠くに運ぼうと、タネにさまざまな工夫を施しています。ひっつき虫もその工夫のひとつで、タネにさまざまなくっつく仕掛けを用意し、それで動物にくっついて、あちこちに運んでもらおうとしているのです。この作戦は、専門的には「付着散布」といいます。


 「ひっつき虫」という形でタネを運ぼうとする植物はとても種類が多く、それだけで一冊の図鑑が書けるくらいです。もちろん東葛地域でも、在来種・外来種を問わず、じつにたくさんの種類の「ひっつき虫」を見つけることができます。


 その代表とも言えるのが、オオオナモミとコセンダングサです。オオオナモミのタネには先がクルンと巻いた刺がたくさんあり、これで洋服の繊維に引っかかるようにくっつきます。いわゆる「おなもみ」にはいくつか種類がありますが、東葛地方で見かけるものの大多数が熱帯アメリカから来たと考えられているオオオナモミです。かつては在来種のオナモミもあったと言うものの今は絶滅危惧種でほとんど見かけません。


 コセンダングサは細長い形をしたひっつき虫で、先に数本の刺があり、これで服に突き刺さります。この仲間もいくつか種類があり、水田や湿地の周りではアメリカセンダングサやタウコギも見られます。

 林の縁などに多いケチヂミザサはベタベタした粘液のようなものを出し、これでズボンにくっつきます。他にメナモミやヤブタバコなどがベタベタでくっつきます。

ケチヂミササ(左)と、ケチヂミササの種を拡大したもの

 そして最近増えてきているのが、北アメリカからやってきた外来種のアレチヌスビトハギです。タネは平たい豆のような形で、表面には先がクルンと巻いた細かい刺がびっしりとついていて、それで洋服にくっつきます。くびれの部分でひとつひとつ分離することができ、それを使って字や絵を描く遊びができます。

アレチヌスビトハギの花(左)と果実(右)


 野山にはここで紹介したほかにもたくさんの「ひっつき虫」があります。ぜひ探してみてくださいね。


わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。

わぴちゃんホームページ