生涯にわたるお口の健康を管理しましょう
その3―オーラルフレイルのチェックと口腔機能低下症と診断されたら―
日本大学松戸歯学部 付属病院長
有床義歯補綴学講座教授 河相 安彦先生
オーラルフレイルのサイン
まず、簡単なテストに「はい」または「いいえ」で答え、合計点からご自身でオーラルフレイルのサインをチェックしましょう。
1. 半年前と比べて、硬いものが食べにくくなった(はい2点、いいえ0点)
2. お茶や汁物でむせることがある(はい2点、いいえ0点)
3. 義歯を入れている ※(はい2点、いいえ0点)
4. 口の乾きが気になる(はい1点、いいえ0点)
5. 半年前と比べて、外出の頻度が少なくなった(はい1点、いいえ0点)
6. さきいか・たくわんくらいの硬さの食べ物を噛める(はい0点、いいえ1点)
7. 1日に2回以上、歯を磨く(はい0点、いいえ1点)
8. 1年に1回以上、歯科医に行く(はい0点、いいえ1点)
※歯を失ってしまった場合は義歯等を適切に使って硬いものをしっかり食べることができるよう治療することが大切です。
(合計点)
0~2点 オーラルフレイルの危険性は低い
3点 オーラルフレイルの危険性あり
4点以上 オーラルフレイルの危険性が高い
(出典:東京大学高齢社会総合研究機構 田中友規、飯島勝矢)
いかがでしょう?
口腔機能低下症と
診断された場合
高齢者の4人に1人は「オーラルフレイル」であると報告されています。先月ご紹介した口腔機能検査7項目のうち3項目以上で基準値を下回ると口腔機能低下症と診断されます。口腔機能低下症と診断されると、各自に口腔機能の維持・向上を目指した管理計画の立案と治療が行われ、6カ月後に再検査を行い2項目以下になれば、口腔機能が回復したとみなします。 改善後もさらなる維持向上と低下を防ぐために継続的な管理とご自身のセルフケアが求められます。ここで注意ですが、口腔機能の低下は加齢による場合以外に、体の病気や認知機能の低下が原因の場合もあります。後者の場合は、お体や認知機能の治療を優先することが望まれます。
口腔機能低下症の
セルフケア
一般社団法人日本老年歯科医学会からわかりやすいパンフレットが提供されていますので詳しくはそちらをご覧ください。
①お口の汚れ
歯磨きは1日2回以上行い、舌と入れ歯の汚れも清掃しましょう。歯磨き後のブクブクうがいをしっかりして、唇、頬、喉を鍛えましょう。
②お口の乾燥
お口をよく動かすこと、そして唾液腺のマッサージを教えてもらい、毎日行いましょう。
③噛み込む力の低下
入れ歯、むし歯、歯周病の治療を受け、咬み合わせをきちんと治した上で、色々な固さの食べ物を食べましょう。
④お口の運動機能の低下
「パ・タ・カ・ラ発音」や「早口言葉」がおすすめです。
⑤舌の力の低下
舌を口の中ではじいて音を鳴らすことや、専用の器具などを用いて舌の力を鍛えましょう。
⑥咀嚼機能低下
1口に20~30回噛むなどの食べ方指導を受けましょう。また、食事の形態についても指導を受けましょう。
⑦飲み込み機能の低下
飲み込む力を鍛える運動の指導を受けましょう。また、飲み込みは、姿勢や呼吸も重要です。それらについても指導を受けましょう。
日本大学松戸歯学部付属病院では、今年4月より「オーラルフレイル外来」を設置する予定です。ご希望の方はご相談ください。
■日本大学松戸歯学部庶務課
☎047・360・9567。