ある小学校で児童間でのトラブルがあり、それを受けて保護者説明会が開かれました。平日の夕方に開かれましたが、保護者の参加率は高く、関心の高さがうかがえました。参加した朝くんのお母さんが会の様子を話してくれました。「説明会はとにかく淡々と進めることを一番に考えられているようでした。司会を務める先生が全く感情を感じさせない、抑揚のない話し方で違和感を持ちました…」。案件の概要の説明があり、校長先生が謝罪しました。そしてそういった場合に使用する対応マニュアルの説明が長々とあったそうです。
朝くんのお母さんは「マニュアルも謝罪も解るんですが、もっと先生たちの生の声を聞きたかった」と仰いました。子どもたちの間で起きてしまったことに関して、先生たちはどう考えているのか。保護者、地域はどのように考えればよいのか。そしてなにより子どもたちのため、これからなにができるのか。そこに関心を持ち、参加した保護者の方も少なくなかったのではないでしょうか。
「どこかの会社の謝罪会見みたいで…。うちは不登校だから余計そう感じるのかもしれないけど、先生は保護者に過剰に丁寧に接している。みんな表面上はにこやかだけれど、なにか不手際でもあれば大変とビクビクしている気がする。だから一人ひとりの先生がどんな先生なのか年々分からなくなっています」と朝くんのお母さんは言います。
当たり前ですが、学校は企業(サービス提供者)ではありません。そして私たち保護者・地域もお客様ではありません。子どもの育ちという一番大切なものを真ん中にして集う仲間のはずです。この視点はいつ、どこから欠落していったのでしょうか。先生たちの過重労働、保護者の過剰な要求などが問題となり、いつしか学校と保護者の距離は離れ、お互いのことがわからないまま親は子どもを学校に送り出し、学校は子どもを預かる。こんなに不安なことはないと思います。このことで一番不利益をこうむるのはやはり子どもたち。先生も保護者もお互いに腹を割って話し合えるような環境を、どうやったら創って行けるのでしょう。
☎04・7146・3501 NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江