男の子も女の子も生きやすい社会に

子どもの広場 ゆうび

 前号より「肌の露出の多い服装について女の子にだけ口を出すのは性差別か」の問題。性別に関係なく、好きな恰好をして過ごせる世の中を願いますが、現実には難しい問題も確かにあります。

 女性が性被害に遭う件数は男性よりも圧倒的に多く、肌の露出の多い服装がその心配を想起させることも少なからずあるでしょう。まだ自己像が確立されていない子、自分の見え方が捉えにくい特性を持っている子など、ゆうびのような現場ではやはり心配が先立ちます。

 しかし、「被害に遭うのはそんな恰好をしているから」「見た目で誘っていると思われてもしょうがない」「男性は性的欲求を我慢できないものだ」という今まで一般的に言われてきたことを繰り返すことは本当に正しいのでしょうか。

 性暴力やセクハラはどうしても避けられない自然災害のようなものではありません。その責任は被害者にあるのではなく、加害者がいなければ発生しません。被害を受けやすい人(主に女性)に向けて注意喚起するだけではなく、加害者になりうる人(主に男性)が加害者にならないようにするにはどうしたら良いかという視点が重要です。

 では、実際に現場で子どもたちに何を語っていけばいいのでしょうか。男女がお互いの性について理解すること。そして自分と相手の心と体を尊重しあうことを子どものころから学ぶことは、結果的に女性も男性も生きやすい社会につながっていきます。私は年頃の子たちに向けて日常的に性について話題にしています。例えば生理のこと、出産のこと、ジェンダーついてなど…。気恥ずかしい面もあるかもしれませんが、意外に男の子も女の子も素直に議論を楽しむ様子があります。今まで知らなかったことを知ることが、お互いの理解と尊重への近道です。女の子に対するアプローチの他、今までなされてこなかった男の子へのアプローチ、この二つを柱として現場で伝え続けていきたいです。(参考文献 太田啓子『これからの男の子たちへ』大月書店、2020年)男の子を持つ保護者だけでなく、どなたにもおすすめです。

ゆうび小さな学園 杉山麻理江