ウメの栽培品種は数百種類! 何種類見つけられるか探してみよう! 

わぴちゃんさんぽ
左上から時計回りに冬至(野梅系野梅性)、八重野梅(野梅系野梅性)、輪違い(野梅系野梅性)、八重寒紅(野梅系野梅性)

 まだ寒さの厳しい頃からちらほら咲きはじめるウメの花。一足早く春を感じさせることから、人気の高い花木です。多種多様な園芸品種を集めた「梅林」も各地に作られています。梅林とまでいかずとも、散歩道や公園のいたるところで目にするウメの花。今回はその種類の豊富さにスポットライトをあてたいと思います。

 ウメはバラ科サクラ属の落葉樹で、万葉の時代から日本人に親しまれてきた歴史のある花木です。とはいえ日本の在来種ではなく、古い時代(奈良時代頃と推定)に中国から渡来したものです。その目的は当初薬用だったようですが、その立ち姿の美しさが日本人の琴線に触れたのでしょう。やがて花木として愛でる対象となり、それは1000年以上の時を経た現代にも受け継がれています。


 歴史が古いこともあり、栽培品種の数も豊富です。一説には、花ウメ(観賞用品種)が約300品種、実ウメ(果樹用品種)は約100品種と言われています。そして花ウメは大きく野梅系(やばいけい)、豊後系(ぶんごけい)、緋梅系(ひばいけい)の3つに分けられます。


 野梅系は野生種に近いもので、枝は細かく、葉も比較的小さめです。花色は豊富で、かたちも一重から八重までさまざまです。さらに野梅性、紅筆性、難波性、青軸性などに分類されます。紅筆性は、つぼみの先が少しとがり、ほんのり紅がかる系統です。また青軸性は、萼や若い枝が緑色(ふつう赤っぽい色)の系統です。


 野梅系の品種のうち、冬至梅などは12月後半から咲きはじめます。それからまだ私はまだ実物に出会えていませんが、花びらの無い花を咲かせる「酈懸(てっけん)」や、咲き始めの花が黄色い「黄金梅(おうごんばい)」などの個性的な品種もあります。

左上から時計回りに古金蘭(野梅系紅筆性)、御所紅(野梅系難波性)、ブンゴウメ(豊後系豊後性)、青軸(野梅系青軸性)

 豊後系はいわゆるブンゴウメのことで、ウメとアンズの雑種です。他の梅より花期が遅く、2月後半から3月に咲きます。

 緋梅系は古い枝や幹の断面の真ん中が赤っぽい色をしている系統です。花は紅色が多いものの、白い花を咲かせる品種もあります。

左上から時計回りに紅千鳥(緋梅系紅梅性)、鹿児島紅(緋梅系紅梅性)、竜峡小梅(実ウメ)、白加賀(実ウメ)

これからウメの花が本格的に咲く季節。ぜひいろいろな栽培品種を探してみてはいかがでしょうか。名札がついている場合、名札と花を順番に写しておくと、後で写真を整理するときに役立ちます。


わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。

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