その紫陽花はガクアジサイ系?ヤマアジサイ系?それとも…

わぴちゃんさんぽ
左上から時計回りに、ガクアジサイ、ガクアジサイの八重咲き品種、いわゆるセイヨウアジサイ、アジサイ

 つい先日年が明けたと思ったら、早いもので梅雨を意識する時期に差しかかりつつありますね。そこで梅雨にぴったりの花、紫陽花を取り上げます。とはいえ紫陽花はネタの宝庫。どういう切り口で記事を書くか迷うところですが、今回はその種類についてまとめます。


 いわゆる紫陽花は、アジサイ科アジサイ属に分類される植物を総称したもので、世界に約40種、日本には16種あります。そして栽培品種は星の数ほどあり、今も毎年のように、新しい品種が次々と作り出されています。
 さて昔から紫陽花として栽培されているものは、大きくガクアジサイ系とヤマアジサイ系の2つに分けられます。

 ガクアジサイは本州と四国の海沿いの暖かい地域に自生する種類で、葉の表面に光沢があり、厚くがっしりとしています。枝先につく花のあつまりのうち、一番外側にある花はがくが花びらのように大きくなります。名前のガクはこれが額縁のように見えることにちなみます。そしてこのガクアジサイのうち、大多数の花のがくが花びら状になったものがアジサイ(ホンアジサイ)です。なお日本のアジサイがヨーロッパにわたり、品種改良されて華やかになって帰ってきたものをセイヨウアジサイと呼ぶこともありますが、アジサイとの区別は難しいです。これらのガクアジサイやアジサイの栽培品種がガクアジサイ系です。

左上から時計回りに、ヤマアジサイ、ヤマアジサイのてまり咲き品種、アマチャ、ヤマアジサイのてまり咲き品種(八重咲き)

 ヤマアジサイは本州から九州にかけての山地に自生する種類です。ガクアジサイに比べると小ぶりで、葉は薄くて少し毛があり、表面に光沢はありません。このヤマアジサイから作り出された栽培品種がヤマアジサイ系です。ヤマアジサイ系の栽培品種も意外に多く、アジサイと同様に多くの花のがくが花びら状になった品種もあります。甘茶の原料となるアマチャもヤマアジサイの変種です。身近に植えられている紫陽花がガクアジサイ系なのか、ヤマアジサイ系は葉の様子から識別可能です。

左上から時計回りに、アメリカアジサイ(アナベル)、カシワバアジサイ、コアジサイ、ピラミッドアジサイ(ノリウツギの栽培品種)

 近年は、これらガクアジサイ系やヤマアジサイ系の栽培品種のほかに、カシワバアジサイやアメリカアジサイ(代表品種はアナベル)、ピラミッドアジサイ(ノリウツギの栽培品種)など新しい種類も次々導入されています。ぜひ散歩道でいろいろ探してみてくださいね。


わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。

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