梨の収穫量、産出額、栽培面積で千葉県は、全国一位だ。そんな千葉県の中でも収穫量の多い松戸市と鎌ヶ谷市の境に位置するのが、初清園（はつせいえん）。農園には、梨（5種）、ぶとう（4種）、キウイの果樹が栽培されており、私たち一般人が収穫可能な人気の観光農園だ。果物狩りでは、園内の梨とぶどうは食べ放題。
「約70年前、祖父の時代から続く農園で私は3代目です。まさか後を継ぐことはないだろうと思っていましたが、看護師を辞め9年前に家業を継ぐことになりました」と代表の小川加代さんは笑顔で話す。コロナ禍では、数少ない屋外レジャーとして来場者も増え、大忙しの毎日だったそうだ。今年は、更なる人出が見込まれる。
初清園は、梨、ぶどうの花が咲く4月ごろから10月までが大忙し。実になる花の受粉、小さな実が育つと選別のために一部を落としていく。残った実に袋を掛け、完熟させ収穫。冬は枝の剪定だ。繊細さを求められる作業で、品質管理には徹底したこだわりがある。梨のおいしさは収穫の時期に大きく左右される。一般の店舗で売られる梨は、流通の時間も考え完熟前に収穫するが、初清園では、ギリギリまで枝に付けた状態で完熟させられるのが産地直送の利点だ。
初清園の梨やぶどうはスーパーや小売店には卸さず、収穫体験と店頭販売、顧客への発送のみ。顧客は、北海道から沖縄の離島まで全国にファンが広がる。収穫体験できる梨は、強い甘みとやさしい酸味のある「豊水」、大玉で贈答品にも人気の「新高」。それに加え、昔ながらの歯ごたえある食感が特徴の「長十郎」も人気。他の農園ではあまり栽培されていない品種で、年配の人たちはわざわざこれを求めてやって来る。ぶどうは、小粒で高い糖度が人気の「バッファロー」、強い甘みと豊かな香りの「スチューベン」が収穫、「巨峰」と「シャインマスカット」は直販される。
小川さんは梨、ぶどう、キウイを使ったジャムやドライフルーツを考案、梨を使った焼肉のタレも好評だ。収穫時期には、梨や農園仲間のフルーツを使用したジュースやスカッシュを販売するキッチンカーをオープンさせる。冬場11月～3月のキッチンカーは、果物いっぱいのクレープを販売予定。人気の果樹園なので必ずご予約を。
（取材・文＝高井さつき／写真＝高井信成）
■初清園
松戸市串崎新田215
☎047・386・7012
梨、ぶどう、キウイの収穫体験
収穫時期：8月上旬または中旬～10月上旬まで。
9時～17時 無休 P40台
大人（小学生以上）
1200円
子供（3歳以上の未就学児）600円
2歳以下無料
入園食べ放題・曜日によって時間制限有・予約優先。詳しくはHPでご確認を。
