書の力 第20回

ふれあい毎日連載

書の力第20回

「二三日」 今関 脩竹(いまぜき しゅうちく)

昭和57年 かな書展 一面 70.0×70.0

どこか寂寥感の漂うこちらの「二三日掃かざる庭の椎おち葉」(高浜虚子の句)。初夏に落葉する椎おち葉が季語です。雨模様から酷暑続きだった、この夏のはじまりを思い出します。

作者の今関脩竹は、戦後に関東の仮名を牽引した存在として知られています。彼は関西の仮名とはひと味違った魅力を生みだしました。仮名といえば平安みやびの流麗で美しいイメージがあります。脩竹の仮名もその世界に端を発しますが、墨つぎを極力控えた粘りのある線質や高い筆圧によって、禅味を帯びていきます。

 脩竹は装飾料紙をほとんど使わず、高い用具はあまり好まなかったといいます。余白を意識的に捉え、一本の筆であらゆる可能性を内包した線を引くことを一貫して求めました。質素な生活のなかで、書において妥協は許さなかったという、脩竹の生き様が「二三日」には凝縮されているようです。

 当館HPのブログ8-3ではそんな脩竹の絶筆も紹介しています。ハンカチーフ片手にぜひお読みください。また、これから山装う季節を迎える成田山で、静寂と書の世界に浸ってみませんか。ご紹介した「二三日」と、絶筆「ある日わが」(当館初公開)を本号発行にあわせて展示いたします。(学芸員 谷本真里)