世界で愛される色、ネイビーブルー。ジャケットは、その凛々しさが感じられる色を基調にした新しいデザイン。スラックスとスカートは、松戸の「市旗」と重なる緑色と自然の青色をイメージしたチェック柄が映える。これは、今年4月から松戸市の中学校全20校のうち、15校で導入される新しいSDGsモデルの標準服だ。
拘束力の強い「制服」とは違い、学校などの組織に所属する生徒が着用することが望ましいとされるのが「標準服」。LGBTやSDGsなどグローバルな時代の動きに伴い、松戸市教育委員会が2021(R3)年から標準服の検討会を発足。保護者、小中学校長、児童生徒の代表者、教諭などによる話し合いや制服の展示会などを行ってきた。その取り組みを引継ぎ、中学校長会ワーキンググループが話し合いを重ね、児童生徒からのアンケートに基づき新しい標準服のデザインを決めた。大きな変更は、男女ともにブレザーになったこと、スカートとスラックスを選べることだ。
この取り組みに尽力した松戸市立第三中学校校長の小澤英明さんは、「気候変動に対応できる調節機能、着やすさ、リユース、保護者負担軽減などを考え、教師が一方的に決めるのではなく生徒たちの意見を聴きながら新しい標準服が決められました」と語る。
リユースに関しては、兄弟姉妹または従妹同士で使用したり、学校のバザーで安価で入手できたりと家計の手助けになる。ジャケットは、男女共通なのでリユースの幅が広がるのも魅力。また、製造メーカーは現在6社が参入しており、価格競争がおこなわれることにより保護者負担の軽減が期待される。
「男子の学生服、女子のセーラー服等に次いで、これは新しい第三の標準服です。ネクタイやリボンの色、校章で学校の独自のオリジナリティが出せます」とワーキンググループで代表を務めた松戸市立第六中学校校長の吉野桂子さんは話す。
このような新しい標準服への取り組みは、生徒たちにとってダイバーシティ(多様性)や人権意識を学ぶうえでも役立つ。今後、全国的にも中学・高校の標準服変更の取り組みは、増えていくのではないだろうか。
(取材・文/高井さつき)