「レイソルしま専科」 -2024春-。

レイソルコラム

 2月22日と27日、柏レイソルは「学校訪問 レイソルしま専科」を実施しました。

 2006年から続くこの学校訪問プログラムは、柏レイソルの選手やスタッフが柏レイソルホームタウンエリア内の小中学校へ赴き、これまでの体験を語る「レイソルトーク」、テクニックを披露する「実技披露」などのプログラムを通じて、児童たちと交流しています。

 昨今は「キャリア教育」の一環として開催されるケースが多く、会場としてはそれぞれの体育館や教室などで開催されているほか、話をする側の選手たちも、ただ問い掛けるだけでなく、スクリーンを利用してプレゼンテーションするまで変化を遂げました。数年前はオンライン形式での実施も見られましたが、現在は訪問形式を中心に実施しています。また、今年は近年になかった春開催という点が変化の一つ。

 今回は22日と27日実施の「しま専科」から選手たちのトーク概要をお送りします。

 22日、柏市立高柳西小学校を訪問したのは佐々木雅士選手&升掛友護選手ペア。


 共にオンライン形式の「しま専科」の経験はあり、訪問形式は初めてだったものの、両選手とも何の問題なくマイクを握り、児童に問い掛け、時には笑いを誘ってみせる。

 升掛選手は様々なスポーツをしていく中で兄弟で始めたサッカーを楽しむようになり、それによって学校生活にも前向きに取り組むようになり、体育委員を務めるなどしていたとか。やがて埼玉県から越境する形で柏レイソルアカデミーへ通うことになって学んだことは「感謝の気持ちを忘れない」ということだと話しました。


 「両親のサポートが無ければ、サッカーをする以前にアカデミーの練習への参加もままならずにいたはずで、学校の先生の日々のアイデアや工夫が無ければ、自分たちは授業を受けられない」と続けました。

 続いて登壇した佐々木選手は「夢を叶えられたきっかけ」について話しました。


 保育園で出会ったサッカー。友人たちに続くように地元サッカークラブに加入して、南アフリカW杯での川島永嗣(磐田)のプレーを見てGKにのめり込んだことが、「世界で活躍する選手に」と本格的にサッカーに取り組むきっかけとなったのだとか。小学4年生からレイソルアカデミーに所属するのですが、地元クラブに入る際も、力試しに受けたアカデミーのセレクションの際も、ご両親の後押しがあって叶っていると話しました。また、「今現在、自分の夢が無くても、今後に何かのきっかけで夢と出会うはず。今は焦らずに自分がやりたいことを探してみて欲しい」と語りかけました。



 27日に柏市立旭小学校へ向かったのは山田雄士選手&鵜木郁哉選手ペアでした。

 鵜木選手は児童たちがつい笑顔になってしまうような明るさやアクションで、トークを始めました。テーマは「夢を持つことの大切さ」ー。


 2人の兄の影響で始めたサッカー。5年生の時、インターネットでレイソルアカデミーのセレクションを見つけて、「記念受験」のような気分で臨んだそうです。加入当初はレベルの高いチームメイトに囲まれ、「辞めたい」と思っていたそうですが、Jリーグを戦っているレイソルトップチームの勇姿を見て、「プロ選手になりたい」という夢を持ち、山田選手らプレーしていた1つ上の世代の先輩たちを手本に、生活態度から見直して、「向上心を持つこと」や「謙虚でいること」、「人の話をしっかり聞くこと」の大切さに気づいたといいます。夢を見つけるだけでなく、自分がサッカーと向き合えているのは、家族やコーチの支えがあるから。その気づきが無ければ、今の自分はないと語りました。また、鵜木選手は第2種登録時代のデビュー戦での見事なアシストシーン動画を何回も見せていました。

 その後、鵜木選手を温かく見つめていた山田選手が和やかにマイクを持ちました。千葉県八千代市でサッカーを始め、プロサッカー選手となった山田選手は「夢を叶えることがどんなに幸せか」について話しました。


 今はまだ出会っていなくても、「夢を持つこと」。もしも、夢が見つかったのなら、その夢に向かっていくために、「常に準備をしておくこと」が特に大切だと話しました。プロサッカー選手を目指していた学生時代の山田選手は、自らのサッカーへの準備について考え自身の不足を補ったことで、怪我がちで試合にもなかなか出られなかった状況を変え、夢を叶えられたと話しました。

 そして、最後は「感謝をすること」。「感謝することが直接夢に繋がるわけではないが、感謝の気持ちを持たない人が夢を叶えられるとは思わない」、「自分の周りにいてくれている家族や友人、コーチや先生たち…本当にたくさんの人のおかげで自分がいることを忘れてはいけない」と最後に強めのメッセージを児童たちに伝えました。

小学生にも「かわいい系」と言われてしまう升掛選手。
盛り上げ役として頼もしい佐々木選手。
とにかく伝えたいことがたくさんある鵜木選手。
静かに寄り添って、この会をまとめてみせた山田選手。

 今回はあくまでトーク概要をお伝えした形なのですが、4者4様のアプローチの中から彼らそれぞれの人間性や彼らを作ってきたものが垣間見えるのもまたこのプログラムの素晴らしさ。ファン・サポーターも「ぜひ、一度見てみたい」と言われて久しいこのプログラム。伝える側のレイソルの選手たちがただ学校を訪れて、体験談を伝えるだけでなく、学校や児童のみなさんからの感謝のレターや感想文が寄せられるなどの温かい地域連携もあるそうです。また、機会があれば続報をお届けしたいと思います。


コメント:鵜木郁哉選手
みなさんの前でお話をしていたら、つい楽しくなってしまって、話がそれてしまいましたが、自分がみなさんに話したいことはお伝えできました。素晴らしい歌も聞かせていただけてうれしかったです!

(写真・文=神宮克典)