「一年半」のカウントダウン―関根大輝 

レイソルコラム

 5月19日に柏レイソルの「特別指定強化選手」としてトップチーム登録された拓殖大学所属DF関根大輝選手は古豪・静岡学園出身の右SB。


 レイソルへの正式加入は約1年半後の25年の予定だが、今回の登録の翌週にはルヴァン杯・鹿島戦に右SBとして先発出場(0‐1●)。身長187㌢という恵まれた体格や右サイドでのアグレッシブな姿勢は目を引いた。


 試合後にレイソルデビューを振り返った関根選手の目の輝きは印象的だったのだが、口をついたのは希望よりも自分への後悔だった。


 「伝統のあるこのカードでの起用は幸せでしたし、大学リーグでは味わえないレベルの選手との対峙できたことは大きな経験です。良いポジションを取れていたのですが、自分の武器であるクロスが上手くいかなかったのは反省点です。ここに終わらずに今日のこの経験を活かしていきたいですし、課題は自分が一番感じています。『意識を変えなければ』と痛感しています」


 自分がどんな右SBかと問われれば、「ボールを持った時のアイデアとアタッキングサードでの質が武器の選手」と話し、クラブからは「ビルドアップでのスキルとSBとしてのサイズが魅力」と評価されていた中の一戦。また、この日のレイソルは関根ら右サイドを活用するプランで臨んでいた中での敗戦。「デビュー戦」というリボンが付いた箱の中にあった「意識改革」という事実と向き合う必要に直面しながらカシマスタジアムを去った。


 タイミング良く攻撃に加わった。ランニングのコース取りにも光るものがあった。守備での破綻もなかった。では、どのような要素の不足が関根選手の意識改革を迫ったのだろうか。


 「あの鹿島戦以来、ずっと『スピード』という点が頭の中にある。今までも選抜や代表に呼ばれた後の課題改善に苦労してきたのですが、ルヴァン杯で起用してもらえた後にU―22日本代表にも呼んでもらえて得られた感覚もある。自分の成長も感じていた中で再びレイソルに練習参加できて充実はしていますが、まだ自分は足りていないと感じていますし、拓殖大学でやっているサッカーとの違いにどうフィットしていくかは課題です。大学とレイソルでは周囲との距離感、ボールを受けてからの景色もだいぶ異なり、相手の守備を個人で打開していく局面やそのスピードやボールの持ち方、守備では相手への寄せ方を解決していく必要があります。それを今知れたことは大きいですし、この感覚へ適応しなくてはいけません」


 25年の正式加入まではあと1年半という時間があるのだが、ただレイソルへ練習に来て帰っていくだけの大学生選手ではなく、意欲的に取り組みながら、何かを見つけ、自らの肥やしとしていく、選手としての質を上げていく姿勢の源にはこのような思いがあるという。


 「選手登録をしてもらえた以上、『チャンスが来るかもしれない』という気持ちは常にあります。前は何も知らなかった中で、がむしゃらに戦って良くも悪くもプレーできた。今は実戦で得た課題とレイソルで必要な事を頭に入れる中で改善点と向き合えている。そこでの成長も求めれていますよね。自分には『1年半』という時間はありますけど、もっとレイソルに帯同できるような実力を付けて、右サイドのポジション争いに加われる選手になりたいので、『残り時間は1年半しかない』という気持ちなんです。25年に加入できた際には『関根はもう3年目の選手だから』と言われるくらいじゃないと、登録していただいた期待に応えられていないことになりますから、意外と時間はないなと感じています」
 出場試合はまだ「1」というステータスの現状ではまだこれ以上関根選手について何かを語れる訳ではないのだが、レイソルは良い思考と気概を持った若者を見つけたような気がしている。
(写真・文=神宮克典)