大いなる「潜在能力」と「顕在能力」-ジエゴ 

レイソルコラム

 7月6日の湘南戦(1‐1)。今季鳥栖から加入したブラジル人DFジエゴ選手がレイソルデビューを果たした。


 デビューが今夏となった理由は開幕寸前の練習中に負った「左大腿直筋肉離れ」―。ジエゴ選手にとってはキャリアで初めての故障部位で、その負傷のレベルも思いの外シリアスなものだった。


 「負傷からのリハビリや個人練習、チームへの合流も何回も時間をかけてその都度体の反応を見極めながら慎重に繰り返していた。新加入選手がすぐにケガをしてしまうということはチームにとって厳しく辛いこと。コーチングスタッフやメディカルスタッフ、レイソルの方々の理解とサポートがあって復帰することができたんだ」


 そんな感謝を胸に左SBとしてスタメン出場したジエゴ選手はいきなりFW細谷真大選手のゴールをアシスト。復帰早々に「違い」を見せつけて、その価値を証明してみせた。


 その後も慎重にプレータイムを増やしながら迎えた8月のC大阪戦では、試合途中から左CBとしてプレーするなど高い汎用性を示した。ジエゴ選手はこの起用についてこう振り返る。


 「監督やチームが望んだのなら、たとえ前線の攻撃的な役割だったとしても、自分はそのオーダーに応えられるように準備をしておくだけだよ。『ジエゴにはその適性がある』と思ってくれたのなら尚更それは喜ばしいこと。自分はそういう選手だし、そんな機会がC大阪で来た。リーグ屈指の空中戦を持つ相手の対策としてCBとしてプレーしたと理解しているよ。中央を固める必要があったから、あの時は守備的な働きを求められた起用だった」


 攻勢を強めたC大阪に対してレイソルはジエゴ選手を左CBに置き、左のスペシャリストであるDF三丸拡選手を攻撃的に置くことで応戦。攻撃的なボール扱いや迷いのない選択を支える正確なテクニックを持つジエゴ選手をCBとして三丸選手の内側に置く戦いの結末は惜しくもドローに終わったが、ジエゴ選手の復帰が再構築中のレイソルへもたらす可能性を示すチャレンジとして有意義だった。


 「まずは与えられた仕事やオーダーに応えていくことを最優先に考えている。自分は攻撃的な特長を持つ左SBで、まずはその部分を期待されていることは理解しているよ。ただ、攻撃一辺倒ではなく、攻守両面での役割を全うしていきたいと思っているから、自分の中にある『潜在能力』というものを『健在能力』とできるよう、毎日取り組んでいるんだ。幸いにもテクニカルスタッフたちが自分たちがすべき戦い方や相手チームの様々な情報を分析してくれていて、そのデータ解析に基づいた落とし込みをトレーニングでも施してくれているし、コンビネーションは良くなっているよ」


 このジエゴ選手の言葉を借りれば、大きなケガを経て、この夏、仲間たちより少し遅れてきたジエゴという存在は現在のレイソルにとって大いなる「潜在能力」だったと言えよう。そして、7月から試合を重ねるたびにたしかな「顕在能力」となりつつある。


 また、ジエゴ選手が進めるその確かな歩みの先にはこんなビジョンがあるという。


 「Jリーグやその歴史の中でも特別な伝統や外国人選手たちへの豊かな経験値を持つレイソルから届いたオファーを聞いた時、『レイソルで良いキャリアを築きたい』と純粋に思ったことを覚えているよ。だから、レイソルでのキャリアをできる限り良いステージとしていきたいし、自分の価値や可能性を高めて、もっと貢献をしていきたい。レイソルでタイトルを賭けた戦いをして、今後のレイソル史の中に『ジエゴ・ジャラ・ロドリゲス』って名前を刻みたいんだ」


 J1リーグの残留争いの真っ只中にあり、チームの再構築にも取り組むレイソルにあって、最も大切な「成功への意欲」というハートを持つこのブラジル人選手の躍動に期待している。

(写真・文=神宮克典)