障害者の持続可能な就労や、社会から孤立している人の社会参加を支援する
「一般社団法人障害者就労支援ネットワークP&P」
代表理事の奥岳洋子さんは、2013年にご主人が10万人に1人という難病にかかったことをきっかけに、アパレル業から障害者就労支援(就労継続支援A型事業所)の指導員に転身した。そこで目の当たりにしたのは、一般社会とはかけはなれた「障害福祉独自の社会」だった。
千葉県の障害者の平均工賃は月収1万5千円にも届かず、現場では、やりがいよりも管理のしやすさが重視されていた。志の高い職員ほどすぐに辞めていくという事実にショックを受けた。
現状をどうにか変えたいと、広報や自社製品責任者を務め、5年間勤務した後、障害福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う「サービス管理責任者」の資格を取得、2020年4月に独立し、同法人を立ち上げた。
事業内容は「商品企画とプロデュース」「福祉事業所の生産品の販売」「SDGsに特化したプロジェクトの企画制作」など。障害者の工賃、賃金の向上を目指すのはもちろん、障害や難病を抱える子どもたちが将来の夢を持ち「なりたいものになれる自由な未来」の実現も目指している。これらのビジネスプランの新規性、創造性が認められ、2021年1月に開催された「ちば起業家ビジネスプラン・コンペティション※」にて「ちば起業家優秀賞(千葉県知事賞)」を受賞している。
奥岳さんが手掛ける「おりづるの祝箸」は、同じものを複数つくるのが得意という福祉事業所の強みを活かしたもの。繊細できらびやかな箸袋はお祝いの席にぴったりだと飲食店からの注文も多い。おりづるを使ったキーホルダーや、アクセサリーも人気だ。商品はこちらから注文できる。
「事業の立ち上げがコロナ禍と重なったこともあり、当初予定していた通りにはいかないこともありました。でも、こんな時だからこそ実現できたことや、出会いも沢山ありました。柏を始め地域の皆さんに、この事業が怪しいものでも理想論でもなく、ましてやボランティアでもなく、ちゃんとしたビジネスだということを知っていただけたら。」
明るくハキハキと想いを語る奥岳さん。そのポジティブな姿勢にこちらも元気を分けてもらった。
(写真・文=松原美穂子)
■一般社団法人障害者就労支援ネットワークP&P
問い合わせ☎050・1547・5437
※千葉県の課題解決につながるビジネスアイデア・ビジネスプランを広く募集して選考、表彰、支援することで、経済の活性化を目指すもの。通称「CHIBAビジコン」