前回までは脳卒中の予防が大切だというお話をしてきました。職場を空けられない、子どもをこれから大学に入れたい、家庭を離れられない、そんな社会的に非常に重要な世代をも容赦なく襲う脳卒中。まずは予防を徹底しましょう。原因となりやすい高血圧や糖尿病、脂質異常症の方は適切な治療を受けて下さい。
しかし、どれだけ予防を頑張っても脳卒中が目の前の人に、あるいは自分に発症してしまうこともあります。そんな時は迷わず救急車を呼んで下さい。「家で少し様子を見ていたが良くならないから救急車を呼んだ」という患者さんもしばしばいらっしゃいます。脳卒中のなかには発症してから治療までの時間が非常に重要なものがあるため、おかしいと思ったらその時点で必ず救急要請をして下さい。
具体的な症状としては『突然の激しい頭痛、半身の手足が動かし難い・しびれる、顔の半分が動いていない、言葉が出ない、話しかけても理解していない、呂律が回らない』などです。
「自分では脳卒中かどうかわからない」とおっしゃる方も多いですが、心配無用です。柏市の消防の皆さんを始めとした東葛地区の救急の方々は勉強熱心で優秀です。現場で患者さんの様子をみて脳卒中を疑えば、その治療が適切にできる病院へ搬送をしてくれます。そして複数の医療機関が受け入れ可能な体制を整えていますし、何より私共の脳卒中センターでは救急隊から脳外科医が直接連絡を受けて対応をしており、受け入れを断ることは絶対にありませんので、この地域では「受け入れ先が見つからずにたらい回しにされる」ということはありません。
地域の皆さんに安心して暮らしていただくため、脳卒中の予防に注力すると共に、もし発症してしまっても最善の治療が受けられるよう体制を整えておくのが私達脳神経外科医の使命だと考えており、誇りを持って日々研鑽(けんさん)をしております。
《名戸ヶ谷病院》脳卒中センター・センター長 脳神経外科部長 井上靖章
社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院脳卒中センター (新柏駅から徒歩約7分)
☎04・7167・8336