皆さんは職場の検診、ちゃんと受けていますか? 高血圧や糖尿病、脂質異常症などお持ちの方は適切な治療を受けていますか?
近年は一般の方々の健康に対する知識が高まってきており、意識は向上してきているように感じます。
では、どうして高血圧を治療しないといけないのか、あるいはどうして脳ドックなど、検診を受けると良いのか、自信を持って説明できる方はいるでしょうか。
よく聞く答えは「血圧が上がると脳の血管が切れるのでしょ」というものですが、これは正しいように聞こえるものの、ほぼ間違いです。脳の血管が切れるくらい血圧が上がったことによる脳出血は、まず滅多にないと言えるほど稀です。脳卒中の予防には『血圧をコントロールする必要』があるという事です。
長期間に渡って血圧が高い状態が続く、あるいは高血圧になるような食生活をしていると、全身の血管の動脈硬化が進み、その結果傷んだ血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなり、あるいは破綻して脳出血をきたします。
その他、不整脈が引き起こされて心臓の中でできた血栓が脳に飛んで脳梗塞になったり、心臓発作になったり、脳卒中の原因となってしまいます。これは『糖尿病・脂質異常症・喫煙・運動不足』も、全て同じです。ポイントは「メタボなどの状態が続くと脳卒中になるので、予防しましょう」ということです。
「ある特定の瞬間の血圧が高い時がある」等はそんなに大事な問題ではありません。長期的な目で見て予防をすることが大事だということになります。
《名戸ヶ谷病院》脳卒中センター・センター長 脳神経外科部長 井上靖章
柏市内で唯一『脳神経外科医直通の脳卒中ホットライン』を持つ名戸ヶ谷病院脳卒中センターでは、毎日多くの患者さんを診察しています。その経験から、皆さんに健康な生活を続けていただくため、地域の脳卒中を減らすために有益な情報を『東葛まいにち』2月23日号より連載します。