新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け、休校していた学校が一部再開し、教室に生徒たちの声や姿がかえってきました。未だ少なからず新たな感染者が出続けている中で、最大限の注意を払いながらのスタートです。
様々な場所に消毒液が置かれ、共同で使う冷水器などは使用禁止と、生活の中に緊張は隠せません。しかしクラスの半分ずつの分散登校とはいえ、やはり懐かしく親しげに再会を喜び合う姿は見ているこちらも嬉しくなります。マスクをしていても満面の笑みであることが伝わってきます。
また、そこには互いの命を守り合う気持ちで自粛に努めた3カ月を経て、特別な時間を共に乗り越えてきた不思議な一体感も感じられます。
さて、ソーシャルディスタンスを確保しても、一度顔を合わせてしまえばそこは旧知の仲間。教室では相変わらずの陽気さで渾身のギャグを披露する者、「太ったな!」「お前もな!」と笑顔で称え合う者。登校しただけで体力がエンプティになっている者など。学校にも少しずつですが、日常が戻って来ています。
違うのは迎え入れる教員側でしょうか。分散で自宅学習日の生徒にも授業のライブ配信がスタートすると言うことで、初日は職員室がさながらお客様相談のコールセンター状態に。「音が聞こえません」「先生の顔ばかりアップで映っています」「うまくつながりません」等々怒濤の連絡がきました。
「わかった!連絡ありがとう。すぐ何とかする!」と階段をダッシュして(本当はいけません!)慣れない機器に四苦八苦しながら授業をしている教室に駆け込んでサポートです。マスクをしているので、苦しいのなんの(笑)。
放課後、一つひとつの机イスをアルコールで消毒しながら顔を上げると、そこには黒板と黒板消し。
カメラに入る幅、つまり普段の半分ほどに制限された黒板に、明日はどうやって授業をまとめようかと思案中。新たな日常、ニュースタンダードを思いながら、日が暮れていきます。
■K太せんせい
現役教師。教育現場のありのままを伝えるコラム。