「柏げんきプロジェクト」は、コロナ禍に負けず柏から明るい話題を提供したいと、柏市老人福祉施設連絡協議会(会長・吉野一實さん)が立ち上げ、特別養護老人ホーム 柏きらりの風 施設長の宇佐見さくらさんと副施設長の岡田卓也さんが実務を担当している。
2020年の発足以来、施設の入居者の様子を収めた動画や、柏市内の様々な著名人に出演を依頼して応援メッセージ動画を製作し、高齢者とその家族、医療・介護従事者を元気づけてきた。
あれから2年、活動の幅は広がっている。「福祉の街かしわ」として、介護の魅力をもっと伝えていこうと柏市内外で活躍する木版画家 大野隆司(おおのたかし)さんにデザインを依頼しステッカーを製作、専門学校や大学に配布しているほか、動画製作も更に精力的に行っている。
介護の仕事に携わって30年の宇佐見さんは「10代の頃に母が病気になり、自宅にヘルパーの女性が来ていました。その女性が来ると暗い雰囲気だった家の中がぱっと明るくなるので、帰宅するのが楽しみだったのを覚えています。私もあんな風になりたいと思ったのが介護に携わるきっかけです。介護は確かにキツイし汚い。けど、それだけじゃないんです。その人や、ご家族の人生に最後まで関わることができて、感謝される仕事です。その喜びを知ってほしい」と話す。
岡田さんは「介護の現場でもICT化※が進み、働き方が変わってきています。例えば『見守りシステム』は、入居者が在室か・睡眠か・トイレにいるかなどを画面で把握できるので、今までのように入居者の様子を確認しつつ他の作業をするというマルチタスクから解放されます。介助者の負担も減ってきているし、収入も安定した職業だということを知ってほしい。新入社員にはまず『大変な仕事だよ』と教えていますが、一所懸命取り組んだ分、返ってくるんです」と力をこめる。
現在、同プロジェクトが公開している動画は40本に及ぶ。(動画はこちら!)
最新の動画「LIFE CHANGED HERE~介護を通して人生を学ぶ~」は、施設に勤務する佐川陽樹さん(20)の実話に基づいたストーリー。排泄介助への葛藤など介護現場のリアルを、ユーモアも交えて伝えている。クスっと笑えてほろりとする作品だ。
いずれ誰もが直面することになる介護の問題。知っているようで知らない人も多いのでは?ぜひ一度視聴してみてほしい。
(取材=松原美穂子)
※ICT化とは…デジタル機器や情報化によるテクノロジーを取り入れ改革を進めること。