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耕作放棄地を整備 サラリーマンから養蜂家に転身「みつばちジャングル」平野 篤さん  富里市

ふれあい毎日

 平野篤さん(55)は、サラリーマンから養蜂家へと転身した異色の経歴の持ち主。「昔から未知なる物や冒険家、考古学者に憧れていた」と話す。しかし、組織に属するのは性に合わないと自覚しながらも、一般企業に就職。神崎町にある会社では若者就労支援事業に従事し、施設長などを歴任。それなりにサラリーマン生活を送っていた。


 そんな平野さんに転機が訪れたのは、会社の系列である銀座ミツバチプロジェクトとの出合い。プライベートでも養蜂していた中、耕作放棄地の活用を思いつく。「自分で手入れ出来なくなった農家にとって、土地が荒れていくのを見るのはつらいもの。それを花畑に出来れば、土地の人にも喜んでもらえ、ミツバチにとっても良い環境になる」と考えたのだ。


 家庭用の草刈機1台と鍬を手に、一から土地を整え始め、クローバーやクリムゾンクローバーといった植物で地道にグランドカバーを耕作するうちに、その熱意が周囲の人に伝わり、軽トラや大型耕運機などを提供してもらえるようになっていったという。


 耕作放棄地は平坦な土地ばかりではない。起伏があったり、大木が20本も生えている土地もある。だったら耕すより、むしろこの地形を活かし、ブランコや日陰を作るのはどうか。ツリーハウスなども面白いかもしれないと考え、地元の仲間とそんな夢を語りあい、農業に興味のある人、土いじりが好きな人、田舎暮らしの技術を習得したい人たちに提供する場として、「リノベーションランド」を構想中だ。「ここに来れば女性や子どもでも参加出来る農業体験が出来る」と夢は広がる。


 耕作放棄地の整備と、蜂蜜作りは、平野さんの人生の大きな両輪だ。どちらも全力で漕ぎ続ける平野さんの情熱は、周囲の人々を巻き込み、新たな価値を生み出している。元サラリーマンの養蜂家は、たくさんの人の人生をデザインする人でもあった。


▽「みつばちジャングル」問☏080・2065・7176(平野さん)。富里市七栄243‐27