令和の時代に入っても、全国的にストリートミュージシャンの聖地と呼ばれているのが柏。現に取材もとても多いそう。
そんな取材の対応にいつも追われているのが、柏で生まれ育ち、柏市を盛り上げている市民団体の中心「ストリート・ブレイカーズ」の代表かつ音楽の街かしわ実行委員会委員長の五十嵐泰正さん。今回は、柏を知り尽くす五十嵐さんにお話を伺いました。
1990年代後半にかけてサムシングエルス(94年結成のバンド。第50回紅白歌合戦に出場)が柏のストリートから日本中に知れ渡り、全国からミュージシャンが柏駅東口ダブルデッキに演奏しにやって来ました。2000年代に入ると爆音を出したり、大人数のグループがいたり、場所の取り合いが始まったりと少し無法地帯になりつつありました。
そこで2005年、みんなが気持ちよく演奏するのための柏ルールができ、それを守れば堂々と演奏できるという「ストリートミュージシャン登録制度」ができたのです。
今でも、街づくり団体と柏市、ミュージシャンが定期的に話し合って柏ルールは進化し続けています。主な内容は、演奏可能な場所と時間帯、アンプ・ドラムの使用と物販は禁止、使用できる楽器や人数などですが、つい最近、今まで禁止となっていた音源を流して演奏することについては、スマートフォンからであれば認められるようになりました。それにより、アイドル系やHIPHOPといったジャンルでもダブルデッキに立てるようになりました。
かつては柏に足を運ばなくてはできなかった登録も2017年からオンラインでできるようになり、遠方の方も増えたそうです。事務手数料はかかりますが、その年の登録証がメールで届き、それを掲げれば演奏可能な時間帯の中でいつでも演奏することができます。
毎年の登録者数は200組強、地域や年齢、ジャンルは様々です。実は柏をモデルケースに全国に同じような制度が作られています。それでもやはり、ストリートミュージシャンの聖地と柏が呼ばれ続けるのは、その自由なやり方にあります。他の地域は週末だけの予約制になっていたりするので、フラッと訪れて演奏できる柏の魅力は高いそうです。
とはいえ、かつての盛り上がりにはまだ遠く、むしろ問題は山積み。それでも柏市といえば、柏レイソルとストリートミュージシャンの聖地というのが対外的なイメージなので、文化遺産としてこれからも大事に守り続け、さらなる進化をさせていきたいと、五十嵐さんも強く望んでいました。
ぜひそのためにも次世代のスターがここからまた生まれ、音楽でも柏から世界へ!