J2での新シーズンに向け始動した柏レイソル。外国人選手の輪の中に和やかな表情をした細身のブラジル人選手がいる。ブラジルの古豪・フラメンゴから加入したMFガブリエル選手だ。早速トレーニングの中で軽やかな身のこなしを見せている。
「私はテクニックやドリブルで仕掛けていくというよりも、周囲の選手とトライアングルを形成してパスを積み重ねて相手の守備を切り崩してチームの攻撃に力を与えるプレーが好みです。中盤やサイドでも力になれるはず」
くりっとした瞳の少年のような風貌だが、プロ10年目の29歳。所属クラブはレイソルで4クラブ目だ。移籍が多いブラジルのプロリーグにおいては少ない数字であり、各チームで安定した力を発揮してきた証左でもある。
「私のキャリアは少し変わっているのです。クラブの育成組織で育ったわけではなく、私のルーツはストリートにあります。小さな頃からストリートサッカーやアマチュアでプレーして、プロになったのは19歳の時です。今こうやって柏レイソルでプレーできることになったのは、とても特別なことだし幸せです」
ストリートからプロまで上り詰め、今度は日本で新たな挑戦をするガブリエル選手には、是非とも見たい光景があるという。 それは「サポーターの歓声に沸く日立台」だ。
「ゴールが決まった時のレイソルサポーターの喜び様をクリスから聞いて、私もその瞬間を今から心待ちにしているんです。だからゴールシーンをたくさん生み出したいですね」
ストリートからやってきた使者・ガブリエル選手が、厳しいシーズンに臨むレイソルにたくさんの喜びを届けてくれることだろう。
(写真・文=神宮克典)