子どものお金は勉強道具 

子どもの広場 ゆうび

 先月からゆうびの裏に、段ボールの小屋(?)が建っています。小学1~4年生の男の子たち4人で結成された探偵団の秘密基地だそうです。段ボールや木材の切れ端、ボロボロのブルーシートなどをかき集め、寒空の中、毎日夢中になってガサゴソ作業しています。お弁当を食べるのも基地、ゲームをするのも基地。ほぼ一日中基地で過ごし、帰るときの顔はいつも皆きらきらしています。


 ◆メンバーのなかで一番小さい一君(小1)。ある日、お家でお父さんと貯金箱を確認していると、随分中身が減っていた。お父さんが聞くと「基地のお金に入れた」と言う。二君(小2)に確認すると、確かに基地のお金というのは存在し、それぞれが入れられる金額を入れて基地に貯めているとのこと。一番多く入れているのはリーダーの四君(小4)で、今までに500円くらい入れている。二君も週100円のお小遣いを、使わずそのまま入れた時もあったと言う。「いつも100円で駄菓子買うのを楽しみにしてるのに?」とお母さんが聞くと「みんなでお金を合わせた方が一人では買えない、いいお菓子を買えるから」と。


 いろいろ考えているんだなあと感心です。ともあれ大事なお金のこと。スタッフは悩みます。「金銭感覚は各家庭で違うので難しい」、「小さい子がお金の価値をよくわからずに出してしまっているのはよくない」、「誰かが搾取されているわけではなく、それぞれが自らやっていることでは」「いくら出しているかで子どもたちの中での待遇が変わるようなことがありはしないか」など。結局子ども側から何か訴えがあったわけではないので様子を見ることになりました。


 私は、小さい子どもに渡すお金は、もちろん現実のお金で大事ではあるけれど、勉強道具、ひいては遊び道具のひとつであると思っています。それを自分たちで作った自治区のなかでどうするのかは子どもたち次第。多少ズルしたり失敗することもあるかもしれません。でも、言葉でお金の大切さを説く他に、子どもたちが生の体験を通して肌感覚で学ぶ機会も奪いたくありません。

☎04・7146・3501 NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江