『知る』ことで自分を守る。性的同意②

子どもの広場 ゆうび

 《前回の続き》若者たちと「性的同意」について学ぶ会で、自分の体にまつわることは全て自分の感じ方に沿って決めようという話をしました。「この人と手をつなぐか」、「ハグするか」、「キスするか」などは相手ではなく、自分が決めること。自分が今、積極的にしたいと感じられているかが重要です。


 そうは言っても参加者の子たちからは「断るのが苦手」、「相手に嫌われたらと思うと断れない」という声も出ました。繊細な気質を持っている子には特に苦しいことでしょう。ですが、すべて相手の要求を受け入れることが愛情ではありません。要求を受け入れる以外に親愛を示す方法はいくつもあります。また断られた側も必要以上に傷つく必要はありません。断られたのは、その行為についてであって、人格まで否定されたように捉えなくていいのです。


 それらを理解した上で「断る・断られる」練習を皆でしました。参加者同士でまず一方が「握手していいですか?」、「頭に触ってもいいですか?」など聞きます。言われた相手はYESなら「いいですよ」。少しでも嫌だ、わからないと言うような気持ちなら「嫌です」と断ります。それを受け、断られた側は「わかりました」と言う。ここまでがセットです。それを相手を変えながら繰り返します。その後、若者たちに感想を聞くと「嫌だと言われた時少し悲しかった」、「断られたけど、この人が嫌がる事をする前に教えてもらえてよかったと思った」などの感想が出ました。   


 私たちは普段「断る・断られる」ということに慣れていません。断ったとき、断られたときは感情を揺さぶられるものですが、このようにロールプレイでも慣れておくと案外大したことに感じないようになるかもしれません。


 「からだの自己決定権」を発動できず、自分の心とからだの領域に侵入されることは、暴力を受けるのに等しいことです。知らずに大切な相手を傷つけないよう、自分も傷つけられないよう、子ども・若者たちに繰り返し伝えたい事柄です。

☎04・7146・3501 NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江