働いていてもいなくても、胸をはって

子どもの広場 ゆうび

 私は息子が1歳の時に、職場復帰しました。仕事に復帰して少しした頃、産休中に通っていた子育てサロンに久々に顔を出しました。子どもを遊ばせながら、ママやボランティアさんとお話するのが楽しみでした。皆さん覚えていて下さり、私は揚々と保育園のことや、再開した仕事について話しました。息子も「保育園に行ったからか物怖じしなくなったわね」などと言われ、私は得意げでした。

 ママさんの中に以前何度かお話したことのある恵さんがいました。先日整体院で偶然お会いしたので「整体今も通ってるんですか?」と、気軽に話しかけました。すると恵さんは「行ってません。私、働いてないからそんなにお金ないんで」と仰いました。そのはっきりとした言い方で、私は恵さんが気を悪くされていることを悟りました。恵さんは3歳になる娘さんを育てている専業主婦でした。

 その後、私はすぐに子育てと仕事の両立に大苦戦しました。「小さいうちから子どもを預けて可哀想」と言われたり、しょっちゅう子どもが熱を出し保育園から呼び出され、子どもにも職場にも申し訳なさが募りました。早くに職場復帰したのだって、仕事をしたかったのも本当ですが、家で子どもとずっと2人きりという生活から逃げ出したかったのが本音です。「お家で子育てに一日向き合っているお母さんの方がすごい。自分には無理だ」と劣等感を感じることもあります。

 このうしろめたさのような気持ちは、きっと恵さんの抱えるそれと似ています。専業主婦の『お金を稼がず家に居るのだから贅沢せず子どものことも家のことも完璧にしなきゃ』という呪縛。

 子育てしながら働くか、子育てに専念するか。どちらにも長所短所があり、各家庭の事情、お母さんの希望に合わせて自由に決めるものです。自分が選択しなかった道を見て、羨んだり引け目に感じたりする必要はありません。社会から、そして自分自身から知らずに押し付けられている理想の母親像ではなく『自分なりのお母さん』で十分立派です。胸をはって堂々といきましょう。

(文=杉山 麻理江)

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