餅を盗む?ちょっと珍しいヨロン島の伝統行事「トゥンガモーキャ」

東葛まいにち

ヨロン島に「トゥンガモーキャ」という伝統行事がある。

十五夜の日に各家庭の軒先に置かれた餅や菓子を子どもが取って歩くという、都会では実施が難しそうな行事である。

 この日に懸ける子どもたちの熱量は、それはもう凄まじい。沢山お菓子を取るためにどのカバンで行こう、どの道を歩こうなど、気合の入れ方が尋常ではない。家々を回っていると、おじいちゃんおばあちゃんが「こっちにあるよ」と満面の笑みで手招きする。子どもたちの楽しそうな様子に、迎える方も嬉しそうだ。

 ハロウィンと似ているが、断じて違う。与論の方言でトゥンガは「餅」、モーキャは「もうけ」という意味で、本来は十五夜のお供え物(餅)をお月様の代わりに子どもたちがこっそり取るという風習なのだ。「トゥンガヌスドゥ(餅盗み)」とも呼ばれる。お供え物が無くなると厄が払われると言われ、縁起が良いそうだ。

 スタイルは昔と今で変化しているが、残していきたい与論の大切な風習である。 

  (写真・文  一般社団法人 ヨロン島観光協会 小高)