花壇に植えられる草花は華やかというイメージがありますが、それが冬花壇となるとどうでしょう。公共施設や公園などの身近な花壇も、冬の間はあまり注目されにくく、素通りされがちです。今回はこの冬花壇にスポットライトを当ててみます。
まず何と言っても冬花壇の定番はパンジーとビオラでしょうか。どちらもスミレの仲間で、直径5cm以上の大きな花を咲かせるパンジー(ガーデン・パンジー)と、小さな花をたくさん咲かせるビオラ(タフテッド・パンジー)の2つに大きく分けられます。ただ最近は品種改良が進んでパンジーとビオラの境目は分かりにくくなっており、また個性的な花を咲かせる園芸品種も増えてきています。パンジーの日本名はいくつかありますが、その中には花を人の顔に見立てたジンメンソウ(人面草)や、舞い遊ぶチョウに見立てたユウチョウカ(遊蝶花)などユニークなものもあります。
近年、冬花壇の仲間入りをしたものに、ガーデンシクラメンと呼ばれる比較的小型のシクラメンがあります。従来シクラメンと言えば、鉢植えで冬は室内で楽しむ花のイメージでしたが、ガーデンシクラメンは比較的寒さに強く、暖かい地域では屋外越冬できます。

それからストック(日本名はアラセイトウ)も冬から春にかけての定番です。本来は花びら4枚の一重咲きなのですが、花壇などに植えられるのは、圧倒的に八重咲きの園芸種が多いかなと思います。
プリムラはサクラソウの仲間の総称で、非常にたくさんの種類があります。その中でも冬花壇によく使われるのがポリアンサやジュリアンと呼ばれるものです。両者の区別は難しいものの、ポリアンサは比較的株が大きく、太い茎が1本立ちしてその先に花をつける傾向があるのに対し、ジュリアンはコンパクトにまとまり株元から次々開花します。

その他、冬花壇の花として、スイートアリッサムやノースポールあたりもよく見かけます。
それから花ではなく葉の彩りになりますが、ハボタンやシロタエギクも冬花壇ではおなじみです。
ここで取り上げたもののほかにも、冬の花壇には意外にたくさんの草花が植えられているものです。ぜひこれを機に冬花壇に目を向けてみてはいかがでしょうか。
わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。 千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。