「今、この薬は手に入りにくくなっておりまして、別の薬に変更させていただいてもよろしいでしょうか。」
このような申し出を薬局で受けた方、結構いるのではないでしょうか。
率直に申し上げます。今現在、医薬品の供給は非常に不安定になっており、薬局ではその入手に四苦八苦しています。咳止め、解熱鎮痛薬、去痰薬あたりの供給不足はテレビでも取り上げられたこともあり状況をご存知の方も多いと思いますが、それだけではありません。降圧剤、漢方薬、喘息発作を予防する薬、点鼻薬、脂質異常症の治療薬…挙げればキリがありません。
現代の医療において、薬は必要不可欠なものです。その薬の供給が滞る、あるいは絶たれるということは皆さんの健康に、そして生命に直結する由々しき事態です。一体どうしてこんなことになってしまったのか…医薬品を取り巻く現状とその裏側にある根深い問題について、私見を交えながら何回かに分けてお伝えできればと考えております。
現在なお続く医薬品の供給不足。事の発端は3年ほど前に発覚した大手製薬会社の製造不正と大規模自主回収と記憶しております。その製薬会社はかなりの製造品目と数量ベースでのシェアを持っていました。自主回収や行政処分の結果としてその会社の医薬品供給がストップした結果、他メーカーに需要が集中し、ついには供給を賄いきれなくなったという流れです。
医薬品に限った話ではありませんが、モノの過不足は全て需要と供給のバランスで決まります。需要が逼迫している状況であれば、単純に供給を増やせば解消される…と安易に考えてしまいますが、こと医薬品についてはそう一筋縄では行かない面があります。
次回ではそのあたりを解説してみようと思います。続く
担当薬剤師 石井雄太 問☎047・360・3600 一般社団法人松戸市薬剤師会