柏レイソルは柏市民文化会館にて毎年の恒例行事である「新体制発表会」を開催。「FEEL THE ENERGY」となったクラブスローガンや新ユニフォームを纏った選手たちの登場もあり、柏市民文化会館は喝采に包まれた。
この発表会は1月17日に催されたから、1週間ほどが経っていて、ほっこりとするニュースを届けてくれた選手がちらほら。「…確かに少し前、良い顔になったよな」と思いつつ、鹿児島県指宿市から届く情報を追う日々だ。
年を跨いだオフ期間の1ヶ月。ウワサがウワサを呼び、無責任に飛躍した議論が中傷レベルで飛び交い、数人の預言師までもが現れるなど混沌としたファンベース内の騒ぎはいつの間にか過ぎ去って、ウワサもどこ吹く風、現在はとても前向きなムードがクラブを包んでいる。ほったらしかしの「預言」も含めて、始末が良いのか悪いのかは置いておいて、それらはなんら特別なことではないのかもしれない。ここまでは大概、「いつも通り」だとしておこう。
J1リーグ残留確定からリカルド・ロドリゲス監督の就任発表。そんな流れから繰り返された新加入リリースと比例して過熱していったチケット争奪戦を制したサポーターたちの熱気で柏市民文化会館は溢れ返っていた。
14名にも膨らんだ新加入選手たちと新ユニフォームモデルを務めた3名の選手かステージに上がり、ロドリゲス監督も登壇。
「Bienvenido‼︎(ビエンベニード:『ようこそ』)」
そんな歓声が飛んだところで、ロドリゲス監督がマイクを持つ。彼を支えるのは新たな通訳者の村松尚登氏だ。
まずは無駄のない初心表明。
「『いつかまた日本に戻って指揮を取りたい』と願っていました。そんな中で日本でも高く評価されている、歴史のある偉大なクラブの1つであるレイソルからオファーをいただき、その際に本当に大きな喜びを感じた。このクラブをさらに偉大なクラブにしていきたいと思いますし、そのためにもみなさんとともに良い仕事をしていきたいと思っています」
そして、さらに無駄のない、私たちへ向けてのメッセージ。
「今までと同じように、『このクラブを、選手たちをサポート、応援して欲しい』と思います。みなさんの応援を我々は必要としていますし、みなさんとともに多くの苦しみを乗り越え、多くの喜びを共有したいと思います。そのために選手たちは日々努力を重ねてくれています。間違いなく、多くの喜びをみなさんと共有できると思います。引き続き、応援をよろしくお願いいたします」
ロドリゲス監督の言葉を良く読めば、断言したのは「柏レイソルというクラブと選手へのサポートと応援」。そして、「努力する選手たち」の存在。
要するに答えはシンプル。「努力するレイソルと選手たちを応援して欲しい」。そういうことだ。
例えば、J1リーグというコンペティションが新加入選手の人数や獲得コストなどを競う競技なのであれば、レイソルは堂々優勝候補の一角を担うクラブとなるし、そうであれば、いつかのサイクルでもそう在ったはずだし、きっとサッカー選手たちは失職をしないし、プロフェッショナルとしての精神構造にも何らか影響があったはずで、近年に見られる世界レベルでの躍進も見られなかったはず。
私が知る限り、この国のこの競技はそんなに毛羽くてヤワな競技ではない。思い描いたように簡単に事が運び、勝利をして笑顔とはいかないこと。私たちはそれについては詳しく話ができる。
そして、何よりも肝心なレイソルイエローのユニフォームを選んでくれた選手たちはまだ擦り合わせの日々。この新しいチームが始動からキャンプ、プレシーズンマッチからリーグ開幕といくつかあるチャプターを経過していくような完璧な立ち上げを望むのは自由だが、彼らの成熟を我慢をする自由、焦らず見つめる自由も同じように尊重されていいはずだ。
良い風が吹き、綺麗な光が彼らに当たっているのはまず間違いない。本当に価値があり、素晴らしいことだが、今はまだ手元に届く新しいユニホームを待って、観戦スケジュールを吟味して、強くなるために努力するレイソル、その選手たちを応援していこう。
確か、ロドリゲス監督はこうも話していた。
「アウェイのチームとしてレイソルのホームスタジアムで戦った際、エネルギーに満ちた、素晴らしい雰囲気のスタジアムで戦ったことが私の心に刻まれています。我々は多くのエナジーを与えたいと思っていますし、みなさんから多くのエナジーを受けて、みなさんと協力して、『パッション』と『エネルギー』に満ちたチームを率いていきたいと思います」
つまりはシンプルだ。
柏レイソルのために歌い、跳ねるもよし、彼らの勇姿を焼き付けんと凝視するもよし、新しい仲間を日立台へ招いてレイソルの虜にするもよし。大見栄を切って何処かへ行くつもりだった人々を再び迎え入れるもよし。「仲間」の定義には常にダイバーシティがあるかもだが、レイソルの存在が「感情の一部」であることに変わりはない以上、エネルギーを放つ、その先は一緒だ。
少しずつ開幕は近づいている。「レイソルからのエネルギーを感じる」用意だってできている。もう、カラッカラだ。最後に少しばかり野暮なことを聞くが、あなた方はどうだ?
(写真・文=神宮克典)