支え方、十色。その一色

レイソルコラム

 開幕から順調な船出を見せる2022年の柏レイソル。

 彼らのホームスタジアムである三協フロンテア柏スタジアムと柏駅を結ぶ「レイソルロード」に沿って掲げられた柏レイソルのフラッグ。地域やサポーターのクラブ愛を象徴するだけでなく、そのフラッグを辿ればスタジアムへ着くことができる。

 2月27日に開催されたホーム開幕戦を前に、サポーター有志によりフラッグの新調作業と周囲の清掃が行われた。サポーター、柏レイソル後援会、三小通り商店街とスポンサー数社が手を組み、実に20年以上に渡り慣例化されている行事だ。「サポーターと後援会、市民の皆さんで柏レイソルを盛り上げたい」と気持ちを寄せ合い歩んできた。今では周辺の飲食店や保育園もレイソルへの愛着を表現している。

「この作業は選手が開幕へ向けて準備する中、『自分たちも何かできないか?』という考えから始まりました。この作業は開幕前だけではなくて、雨風に曝された際にはフラッグのメンテナンスや取り替えなども行っているんです。だから、ほぼ1年掛かりですね(笑)」

 この日も通りのそこかしこでレイソルのユニフォームを着たサポーターが手を取り合い、2時間に及んだ作業を終えた。サポーターの代表者はこう話す。

 「この三小通りは、まず周囲の方々の大切な生活道路であり、我々レイソルサポーターからすれば、自分たちや対戦クラブのサポーターやたくさんのお客様たちが使うメインストリート。トップやアカデミーの選手たちも日常的にこの道を通りますし、以前はアジア各国や南米のサポーターだってこのフラッグを目印にスタジアムへ来てくれた。『その道をきれいに保ちたい』という純粋な気持ちと『もっとレイソル色を強められたら』という夢を諦めたくないですね。協力してくれるすべての方々に感謝していますし、この作業を通じ、『自分が育った・住む街に愛するJリーグクラブがあるって素晴らしいことだ』と喜びを実感するんです」

彼らは彼らのやり方でゲストを迎え、彼らの色で柏レイソルを支えようとしている。

 一方で、彼らの主戦場である「ゴール裏」でチームを支えるには、長引くコロナ禍で様変わりした観戦マナーを遵守することが必須でありもどかしい面もあるだろう。

 ただ、決してすべてを禁じられたわけではない。むしろ、楽しみ方は多様化した。声を出せない分太鼓でビートを刻み、手を叩き、タオルマフラーやゲートフラッグで選手を鼓舞することだって、大旗を空に泳がすことだって、耳を澄ましてピッチの声や音を楽しむことだってできる。様々なシチュエーションから様々なデバイスを用いて一喜一憂することもできる。

 思いの形、支え方、届け方は十人十色。三小通りで、スタジアムで、SNSで、あるいは自宅で、あの黄色いフラッグや太陽のエンブレムと向き合った時の感情に素直であろう。柏レイソルはきっと応えてくれるはずだ。

(写真・文=神宮克典)