6選手は既に登録されているGK佐々木雅士選手とDF大嶽拓馬選手と共に柏レイソルトップチームでの公式戦出場が可能となる。
ここでは彼らの紹介ができたらと思う。
柏U‐18のキャプテンを務める戸田伊吹選手(とだいぶき)は本来はMFでありながら現在CBでプレー経験を積んでいる。最終ラインから巧みなボールタッチで攻撃の入口を作り出す能力に長け、試合展開を読んだプレー選択ができ、守備面でも体を張れる選手だ。
田村蒼生選手(たむらそうき)はジュニア年代から鋭いドリブルと得点感覚で「違い」を見せてきた選手のひとりで、現在U‐18チームでの背番号は「10」。小柄だが、相手チームの中盤と最終ラインの間から豊富なアイデアで相手ゴールを一瞬で脅かす。
中島舜選手(なかじましゅん)はサイドからのドリブルを得意とするFW。育成年代ではワントップでのプレー経験もあるだけに、相手ゴール前での判断に迷いがない。緩急自在の突破からフィニッシュまで自信を見せており、現在U‐18チームで最もゴールの予感を醸す選手である。
唯一のMF登録である揖斐俊斗選手(いびしゅんと)は底知れぬ潜在能力が目を引く。ボールタッチとパス能力は特筆すべきレベルにある上に、ボールをシンプルに前へ配球する視野や戦術眼も際立っている。FWやSBを任される場面もあり、柏のアカデミーが多く輩出してきた「左利きMF」の系譜の中でも新種と言えるだろう。
田中隼人選手(たなかはやと)は左利きのCB。190㌢に迫る圧倒的なフィジカルにチームトップのスピードを併せ持ち、冷静なポジショニングと配球がひときわ目を引く2年生。4バックの左や3バックの左と中央、或いは左SBにも適性を伺わせる大器。トップチームの攻撃陣とマッチアップすることでさらなる開花が期待される。
近野勝大選手(こんのかつひろ)はサイズに恵まれた本格派GK。今夏、佐々木選手の負傷により緊急出場となった試合では勇敢なセービングでチームの反撃を支えた。もちろん、「柏のGK」らしい足下の技術を持ち、正確なロングキックは攻撃の第一歩ともなる。途中出場からトップ登録に至ったシンデレラボーイ。
レイソルアカデミーの選手だけあってクオリティーは折り紙付き。トップ登録は、彼らにとってコロナ禍にあって本来積めるはずであった経験値を取り返すまたとない機会となるだろう。新たに首脳陣たちの目に止まる選手が出てくるかもしれない。
これまで、2種登録を見送られながらトップ昇格を果たした選手も、2種登録されながら昇格が叶わず、大粒の涙を流した選手もいる。これは「トップ登録」から「トップ昇格」を掴むための戦いでもある。
人工芝での年月の中にもいくつかの体制の変化があり、アカデミーも新たなフェーズを迎えている。その変遷の中で切磋琢磨してきた彼らの世代はいわば、「柏の育成」の秘蔵っ子たち。そんな彼らがネルシーニョ監督の「Vitória」と邂逅することでどんな成長を見せてくれるのか、楽しみでならない。
(写真・文=神宮克典)