11月15日、日本体育大学柏高等学校は初となる「Jリーグ内定者合同記者会見」を開催。 晴れてプロサッカー選手の夢を叶えた同校在学中の4選手が登壇。初めての経験にそれぞれさまざまな表情を見せていたが、明るく希望に満ちた記者会見となった。
かつては同校から古賀太陽や細谷真大、土屋巧らが夢を叶えた。今年その彼らに続いたのはFWワッド・モハメッド・サディキ。 恵まれた体格と目を見張るスピードで相手ゴールへ迫る柏レイソルUー18のFW。今年唯一のトップチーム昇格選手だ。ワッドは目を輝かせながら抱負をこう語った。
「夢は柏レイソルで活躍して、たくさんのゴールを決めて、『柏レイソルのエース』になること。自分の武器は身体を活かした前線でのポストプレーやゴールを決める能力ですが、トップ下や守備的MFなど中盤でもプレーできるところは特長としていきたいですし、一日も早くチームに貢献できる選手になりたいです」
水戸ホーリーホック(J2)への加入が内定しているのは日体大柏高校サッカー部GK早川ウワブライト。今回初めて取材させてもらった選手。素早い反応と鋭いシュートストップに定評がある選手だ。また、そのマイクを掴んでからの度胸や醸し出す『華』の部分も印象的な選手だった。
「水戸ホーリーホックで経験を積んで、たくさんの試合に出て、将来はJ1やそれ以上のステージで戦える選手になりたいです。自分の特長は身体能力を活かしたシュートセービングやハイボールの処理、キックの精度だと思っています」
3人目は藤枝MYFC(J2)内定のGK栗栖汰志。責任感が強く、チームリーダーにもなれる。明るくハキハキとした口調も印象的な頼れるキャプテン。ピッチで身長以上に大きく見える選手だ。
「来年からチームに貢献していきたいですし、いつかは藤枝をJ1へ昇格させる選手になれるように努力をしていきたい。柏Uー18では主将を任されているので、チームをまとめる経験も積んでいます。その力も活かして、チームの力になりたい」
4人目はギラヴァンツ北九州(J3)内定のFW吉原楓人。キレ味鋭いドリブルとゴールに直結する仕事に輝くものを持つ選手だが、ドリブルだけでなく180cmを超えるサイズ感も魅力だ。
「自分のプレーの特長は前線やボールを持った時の選択だと思っています。特にドリブルを見ていただきたいと思っていますし、1年目からギラヴァンツ北九州でスタメンを任されるような選手になりたいです」
この4選手の門出の会見を会場の一番後ろで見守っていた藤田優人柏Uー18監督は、この日の会見の開催に尽力したスタッフの1人でもあるという。選手たちやスタッフが促しても、登壇を頑なに拒んでいたのは愉快だったが、それは彼らのこの先のことを思ってのこと。
会見の終わりを待って、今回の会見の意図についてと彼ら以外のアカデミー選手たちの進路についてこう話した。 「自分は会見に関係ないから登壇しませんよ。当たり前じゃないですか(笑)。ここは彼らの会見なので。今日は彼らがどんな気持ちを話してくれるのかを見に来ました。プロサッカー選手はこういう場所でもしっかりとしないといけない。そこを経験してもらえたらそれでいい。彼らはプロへ進みますが、チーム内には大学へ進学する選手たちもたくさんいる。決めるのは彼らですが、自分としてはただ強豪大学へ送り出すのではなく、それぞれの性格やタイプに合わせた提案をさせてもらっているつもり。学校に合う合わないはすごく大切なことですし、自分はそのあたりも含めて『育成』だと思うので」 。
この4選手だけでなく、新たなステージへ立つたくさんの選手たちの幸運を願うばかりではあるが、着実に成果を上げ続けている柏レイソルアカデミーと日体大柏高校の連携やアカデミー選手たちの「その後」へのアプローチについても知ることができた素晴らしい会見となった。
(写真・文=神宮克典)