夏本番、楽しい思い出を作るはずの季節にまた新型コロナの影が射しています。今でもできることや今だからできることを考えて、少しでも楽しい毎日を送っていただければと願っています。
さて、この連載では一貫して脳卒中の予防の大切さをお話してきました。自宅で家族と過ごす時間が多いこの時代だからこそ、健康な生活を維持する方法に興味を持っていただければ嬉しいです。
今回は、読者の皆様からのコメントひとつひとつを拝読する中で、ご質問の多かったものの一つ「脳ドックで認知症までわかるのか」にお答えします。
そもそも認知症とは、認知機能や知的能力が元の正常な状態から低下する状態を指しており、なにか特殊な検査で診断するものではなく、症状や病歴を元に判断します。認知症を疑う場合は、身体診察で歩行状態や筋肉の状態などを確認するとともに、認知機能などを客観的に評価するための簡単なテストやMRIなどの画像検査を行います。
こうした検査の目的は、特発性正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、あるいはその他の変性疾患など治療を行うべき疾患が原因になっていないかをチェックするためです。
甲状腺機能の異常など内科的な病気が原因となることもあれば、高齢者なら「うつの症状が認知症に見えている」ということも少なくありません。
これらの病気は、脳ドック単体では全ての検査項目を網羅しているわけではないので診断には至らないことがあるかもしれませんが、専門の医師がお話を伺い診察した時点で疑い、追加の検査を行って診断することができます。
つまり、症状がなければ認知症ではありませんし、症状がある場合は医師とお話する際にご相談いただければその時点で追加の検査を行い診断することができます。
ただし、症状がある場合は脳ドックではなく、保険診療での受診を強くお勧めします。
社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院脳卒中センター(新柏駅から徒歩約7分)
☎04・7167・8336