管理栄養士、松丸奨さんは、1983年生まれの41歳。専門学校卒業後、栄養士として千葉県の市立病院に勤務。
2008年から東京都文京区の小学校で学校栄養士として、給食の献立作成や調理指導、食育の授業などを行う。2013年に「全国学校給食甲子園」で男性栄養士として初めて優勝し、注目を集める。著書「給食が教えてくれたこと」など。
12月13日、ららぽーと柏の葉京葉ガス料理室で行われた調理講習会(主催 柏市給食研究会)の講師として登壇した松丸さんに話を聞いた。
―松戸市のご出身なんですね!
「はい。生まれと育ちが松戸市です」
―高校は柏市なんですね!高校では何かスポーツをされていたんですか?
「いいえ(笑)、父の母校ということで、父のことが好きなので同じ高校を選びました。高校時代は帰宅部で、6号沿い(国道)の飲食店でアルバイトに明け暮れていました!」。
―その頃から料理がお好きだったんですね。栄養士を目指すきっかけはありましたか?
「小学校時代にいじめに遭って、学校に行きたくない時期があったんです。でも美味しい給食を食べたいという気持ちで通学することができました。それが原点かもしれません」。
―栄養士として大切にしていることは?
「食で子どもたちを支えるカウンセラーのような存在でありたいと思っています。栄養士の顔と名前が知られていないのもったいないので、毎日給食の時間には子どもたちのクラスに行って配膳を手伝います。好き嫌いがある子にも『これを食べると骨が強くなるよ』などと声がけをしています」。
―課題はありますか?
「最近の子どもたちはスマホなどであらゆる情報を得ています。S N Sで綺麗なモデルさんが『プロテインバーだけ食べればいい』、『糖質オフダイエットをしよう』などと言えばそれを信じて実行してしまうことに危機感を覚えます。『勉強に必要なエネルギーは糖質なんだよ』、『君たちは成長期で、外からは見えない大事な部分を作っている最中だから栄養をきちんととらないとだめだよ』と教えると『え?そうなの?』と驚く。将来の疾患につながりかねないので、栄養について教えるのは栄養士の大事な役目だと思っています」。
―現在放映中の朝ドラ「おむすび」の制作に協力されましたね。
「はい。栄養士と言っても学校の栄養士や産婦人科の栄養士など様々なので、栄養士とはどんなものか?役割や考え方といった情報を提供しました」。
―学校給食について、お考えを聞かせてください。
「少子化で自校式が保てず、給食センターに集約される地域は増えると思います。センターすらつくれず、民間に委託する自治体も出てくるかもしれません。そんな時にお弁当給食でも美味しくできる工夫やアドバイスを自治体問わず協力していきたい。ただやっぱり出来立てを提供できる自校式は美味しいです。『子どもが大事』といいながら子どもの栄養がおざなりになっていると感じます」。
―執筆、メディアへの出演、講演会など、積極的に活動されています。今後の目標を教えてください。
「様々なオファーを頂きますが、給食や子どもに関わるものだけ受けるようにしています。活動を通して学校間格差や地域格差、不平等を埋めていきたいんです。全国に講演に行って自分の持っている知識や技は全部提供して、日本中の給食のレベルアップに貢献したい。また、S N Sでレシピを発信して、家庭でどんなものをつくればいいのかわからない親御さんにも届けたい。今までの公務員がやってこなかったことを全部やっていきたいです」。
(取材・文=松原美穂子)