私たちが、日常何気なく使っているキッチンやお風呂の水道の蛇口。これを製造販売している会社が、松戸市にあるファインテック高橋だ。創業は明治40年、今年で113年目を迎え、業界でも5番目に古い老舗企業だ。
創業当時は、港区芝白金に社屋を構え、トイレの便器洗浄用フラッシュバルブ(流す際の水量を調整する部分)を製造。欧米からの輸入に頼っていた製品の国内製造販売が可能となり「フラッシュバルブの高橋」と言われる程に成長。現在の場所に工場を移転して来年で30年になる。
製造販売している製品は、UR都市機の住宅や高級ホテルなどの水栓金具、キッチンや浴室の蛇口、洗濯機の下に設置されているホースと排水管を繋ぐ排水パントラップなどである。
3階建ての工場で製造が行われ、1階には巨大な溶解用高周波電気炉を2基、銅合金鋳物製造ライン1式などが設置されており、製品の基礎となる銅を1200度の電気炉で溶かし、型に流し込みをする。その型で作った30種類にもなる鋳造製品を2階に運び、削ったり細かい穴を開け、最終的には薬品に浸しメッキを施すときれいに光る製品に変身する。
クライアントは、LIXIL(旧伊奈製陶)やグローエジャパンなど。「水まわりのオートクチュール」という社の姿勢どおりに、特注や個別オーダーにも応じており、企画・開発などから1年から2年ほど時間を要するものもある。
最終の組み立て工程などにインドネシアからの若い作業員が5名働いている。人事担当者が現地に赴き面接をして採用した人員で、外国人技能実習生として来日。ここで手にした技術を本国でも生かせるようにと、メッキの技能試験を受けるなどし、熱心に仕事に取り組む姿勢は高く評価されている。
蛇口一つとってみても巨大な電気炉を使う行程から、熟練の技を要する細かい作業まで多岐に渡る。また、コロナ禍において、滅菌作用のある銅でつくられている製品の将来性も高まっているそうだ。
(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)
松戸市松飛台中原286‐38
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