春休み中のショッピングセンターでのこと。小学2年生くらいの女の子とそのおばあちゃんらしき女性が2人で買い物に来ていました。おばあちゃんが女の子にバッグを買ってあげるらしく、女の子は数ある可愛らしいバッグを前にどれにしようか悩んでいる様子です。「ちいちゃんの好きなのを選んでいいからね。ちいちゃんが使うんだから」とおばあちゃんは言いつつも、あれこれバッグを見定めています。ほどなくして女の子は黒いシンプルなバッグを選びました。「それでいいの?こっちはちいちゃんの好きなキャラクターが付いてるよ。こっちのはここにポケットがあるし。本当にそれでいいの?」とおばあちゃんのプレゼンが続きます。「う~ん」と女の子はまた悩み始めました。どうやらおばあちゃんの中では買ってあげたいバッグが決まっているようです。
子どもに自由に選ばせる。お出かけにどの靴下を履いて行くかといった小さなことから、進学先など大きな選択に至るまで。その選択に口を出さないというのは、親にとって本当に難しいことです。私自身も息子に買い物でよく「どっちがいい?」と聞いておきながら「でもこっちの方が…」と口を出してしまい、「じゃあなんで聞いたの⁉」と怒られることしばしばです。
子どもに「どれがいい?」と聞くのは「あくまで子どもに選ばせている」という体裁が欲しいため。そして「あなたが決めたことなんだからね」と子ども自身に責任や覚悟を負わす意味合いもあると思います。お金を出すのは親なので無駄にしてほしくないという気持ちもよくわかります。ですが、結局子ども自身が真に「自分で決めた」感覚を持たなければ、良かったにしろ悪かったにしろその結果を受け止めることはできません。「親がこっちにしてほしそうだったからそうしたけど、本当はあっちが良かった」と忖度した後悔を大人になっても持ち続けている人は多いです。
先ほどの女の子は悩んだ末、やはり最初に選んだ黒いバッグをおばあちゃんに買ってもらい、誇らしげに帰っていきました。
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