川霧、白虹、地球影!朝と夕方に探したい気象に関する現象

わぴちゃんさんぽ
露虹

 晩秋から初冬は、季節の風物詩的な現象をいろいろと観察できます。その中から東葛地区で見られる可能性があるものをいくつかピックアップして紹介します。

左上から時計回りに、川霧(蒸気霧の一種)、次霧、低い霧、白霧(露虹)


 まずは朝霧。晩秋の朝霧はできかたのちがいから放射霧と蒸気霧の2つに大きく分けられます。放射霧は冷え込みによって空気中の水蒸気が小さな水の粒(霧粒)となって漂った状態です。雨あがりなどで空気が湿っている朝に出やすく、あたり一面が濃い霧に包まれることもあります。


 一方の蒸気霧は川や池などの水面から湯気のように立ちのぼる霧です。川霧とも呼ばれ、朝日が当たると黄金色に輝いて幻想的な風景となります。また朝日をバックにして立つと、運が良ければ白虹(霧虹)が見られるかもしれません。白虹は高原の夏の朝というイメージが強いですが、初冬の川霧が出るような朝は、平地でも見られる可能性があります。


 また霧の高さによる分類もあり、数m程度と低いものを「低い霧」、地面付近にだけ出たものを地霧といいます。


 冷え込んだ朝は、空気中の水蒸気が朝露となって地面付近の草木を濡らします。芝のような草がびっしり生えていて朝露がたっぷり降りているときは、太陽を背にして立つと、露虹と呼ばれる丸い虹がかかることがあります。これは結構レアな現象で見られたらかなりラッキーです。さらに冷え込みが強まり最低気温4℃を下回ると霜が降りる可能性があります。虹は水滴によってできる現象なので、霜のときは現れません。

 もうひとつ、冬が近づき空気が澄んでくると、早朝や夕方の空の色がくっきり鮮やかになります。特に日没後から本格的な宵闇が訪れるまでの間が美しく、この時間はマジックアワーと呼ばれています。街灯やシルエットと組み合わせると最高です。

左:地球影とビーナスの帯 右:マジックアワーの空


 それからよく晴れた日は、日の出・日没前後の時間帯に太陽と反対側の空の地平線付近が紺色~ピンク色のグラデーションを描きます。これは地球影といって地球の影が空に投影されたものです。


 ピンク色の部分はビーナスの帯という素敵な名前で呼ばれることもあります。
 初冬の早朝と夕方は、他にもさまざまな現象を見ることができます。意識しながら散歩してみるとおもしろい発見があるかもしれませんね。


わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。

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