旅スケッチ 新緑の散歩 船橋市

京成電鉄松戸線の滝不動駅で下車して10分ほど歩くと、「御瀧山金蔵寺(おたきさんこんぞうじ)に着く。本尊が不動明王であることから「御瀧不動尊(おたきどうそん)」の愛称で親しまれている。

御瀧公園の樹木の枝ぶりにも驚く。均等に日の光を受け、太い幹から枝先まで、実に美しい。入口に屋台が出ていて心躍る。

境内に入り、のんびりと散策を楽しむ。三重塔を見ながら階段を降りると、小さなお大師様に赤い帽子とよだれかけ、黄色いかわいい花も供えられている。


散歩の日は4月8日のお釈迦様の誕生日「灌仏会(花祭り)」。甘茶接待があると聞き、「誕生仏(釈迦像)」を囲った小さな「花御堂(はなみどう)」のお祝飾りの方へ行くと、何人かが甘茶を飲んでいた。飲むと不老不死になるという伝説あり。私もいただいた。

大師堂(旧本堂)前に不思議な型の灯籠を見つけた。御瀧型灯籠と呼ばれ、他に類を見ない独特の型だ。

気の向くままに歩き、仁王門を通過。天井の七福神の絵が華やかだ。この門は200年前の建立。初詣で潜ると縁起が良いと言われている。

植木の手入れをしている男性が夏に蛍を放すという掘りを教えてくれた。梅雨を迎えるころ、夜は幻想的な世界になるだろう。

弁天池の前の赤い椿とピンクの椿が素晴らしい。池には鯉と亀がいた。水面に映る木立が異界への入口に見えた。


少し先まで行くと、表門に出た。ここから中へ向かって参道が出来ていたのだ。再び弁天池に戻ると人の数が増えていた。中心の島には美しい六角の弁天堂が建ち、夏には一面蓮の花で覆われるそうだ。

網を持った子どもたちが三人岩陰から出てきた。石組みの奥へ進むと滝を発見!行者滝(不動滝)だ。古くから水行の場として使われ、船橋市唯一の川「海老川」の源流として知られている。

最初に入って来た門へ戻り、屋台の焼きそばを注文し、あんず飴の屋台に張り付いていた二人の子どもたちと話をしながら大盛りを食べた。子どもたちは私を雑誌のカメラマンだと思っていたようだ。


カラフルなあんず飴に魅せられたのは私だけではなく、子どもたちも次から次へと集まって来た。屋台の周りを取り囲みうれしそうに飴売りおばちゃんと話していた。
◆今回の散歩データ:滝不動駅~御瀧不動尊境内約3㌔、徒歩約3時間。
【たっちゃん】千葉県在住。ワインを愛し、テーマに沿って、アートとレコードを楽しむ会を主催する。古書探索と街歩き、料理作りが日課。