現代美術家 荒井恵子さん主宰の水墨画教室「墨ラボ」生徒作品展 《船橋》

ふれあい毎日

4月15日(火)~20日(日) 船橋市民ギャラリー

 船橋市在住の水墨画家で現代美術作家の荒井恵子さんが主宰する水墨画教室「墨ラボ」は、同市古作にある荒井さんのアトリエで月2回ほど開催されている。この教室の生徒らによる作品展が今月15日(火)~20日(日)、船橋市民ギャラリー(「船橋スクエア21ビル」3階)で開催。出品者は9名、出品作品は約50点。「墨ラボ展」は今回で4回目。

 現代美術家の荒井さんの指導は一般的な絵画教室と比較すると異色だ。多様な墨表現は教えるものの、描く道具は筆だけでなく、石や木材、ダンボールやプラスチック板などあらゆるものを筆に見立て、それを駆使して、自らが描きたいものの表現にいちばんぴったりくる道具と技法を探し出すやり方だ。


作品制作にあたっては、生徒自身が持つ豊かな個性を引き出すため、一人ひとりへの違った指導が可能なのは、荒井さん自身が多くの実験を繰り返し、たくさんの引き出しを持っているからだ。水墨画は和紙と墨、水だけで表現する世界なのに、同じテーマでも、この教室の生徒全員が一人として同じものを描き出すことはないという。生徒の作品を見せてもらったが、黒色一色と思われがちな墨なのに、実に豊かな色彩で、思いも寄らない線が描けるものなのだ、と感心させられた。


「水墨画の世界は和紙、墨、水、のシンプルな表現ではあるが、眠っている豊かな感性を目覚めさせてくれる愉しく、魅力的な世界です。多面的な視野で、個性が際立つ作品創りを目指し、毎日の暮らしの中に、創造する喜びを共にできる時間となればと思っています」と、荒井さん。


「Fantasticな夢の世界、心の秘めた思いを表現する荒井先生。磨かれた感性で、見る者を感動させてくれる先生の作品に魅せられて85歳で教室に入った。心の眼で見た画が描けたらと思っている。自由に独自の世界を模索出来ることはとても幸せな時間」と、生徒の吉田幸一郎さん。初参加の今回は『春を待つ』と題した作品を出品する。

「教室では和紙が奏でる墨の世界の愉しさ、無限の表現を楽しんでいる。気が付いたら一人ひとりが、個性豊かな力作を描き上げていた。まさに荒井マジック」と、作品『微光』を出品する船戸博子さん。


■荒井恵子:水墨画家・現代美術作家。現代における墨と和紙による表現の可能性を追求している。近年の主な展覧会に、個展「つくりかけラボ14荒井恵子―和紙のフトコロ 墨のダイゴミ」(千葉市美術館、2024年)、個展「いろいろのいろ墨のいろー荒井恵子と子どもたち」(富山県水墨美術館、2019年)、個展「岡太神社・大滝神社千三百年大祭記念事業 荒井恵子の世界 墨と和紙 そのあわい」(越前和紙の里 卯立の工芸館/福井、2018年)など。
4月5日~5月18日は墨の本場、奈良県の奈良県立美術館で「いろいろのいろ 墨のいろ~奈良の100の墨をめぐって」と題した個展を開催。5月8日~6月28日ニューヨークでの個展を控えている。最近は映像や写真の表現にも幅を広げ活動している。