治療薬やワクチンの開発

かかりつけ薬局の知っトク情報

 新型コロナウイルスの感染拡大に世界中が不安に包まれる中、ワクチン接種が欧米で始まり、国内でも承認申請が行われました。そして、ワクチンとともに期待されているのが治療薬です。

 通常、新薬の開発期間は9~17年といわれています。具体的には、まず基礎研究というものが2~3年行われます。これは、有効成分の候補となる物質を新しく探し出す研究です。次に、基礎研究により見つかった、薬になる可能性のある物質の有効性と安全性を調べるための非臨床試験が3~5年行われます。非臨床試験は動物や人工的に育てた細胞を用いて行われます。それを通過した物質のみが、次の臨床試験に進むことができます。

 臨床試験はいわゆる治験というもので、人間を対象とした試験です。はじめに健康な人で安全性や薬物動態(薬を投与してから排泄されるまでの過程)を中心に試験し、その次に病気にかかっている患者さんを対象として有効性や安全性、用法・用量などについてのデータを収集します。臨床試験に要する期間は3~7年で、収集したデータより薬としての可否を判断します。

 臨床試験が終了して、薬として有効性、安全性、品質が証明されると、厚生労働省に対して承認を得るための申請が可能になります。厚生労働省での審査、審議を経て許可されたものが医薬品として世に出ることができます。ここまで進むことができる候補物質は数少なく、研究対象となったほとんどの物質は途中の段階で開発が断念されてしまいます。薬の開発を成功させることはとても大変なことなのです。

 治療薬が一刻も早く誕生してほしいのは当然のことですが、多くの薬には副作用があることを忘れてはいけません。過去に開発を急ぐあまり、承認前から分かっていた危険性について十分な安全対策がとられていないまま世に出て、薬害事件につながってしまったこともありました。このような事件が繰り返されないためにも、長い年月をかけて慎重に開発を行い、有効性だけでなく安全性を確保することが大切なのです。

 治療薬やワクチンの開発には手間隙がかかります。はやる気持ちを抑えて、安心して使える薬ができるのを焦らず急がず待ちましょう。

五香薬局実習生 矢作知佳 

問い合わせ ☎047・360・3600(一般社団法人 松戸市薬剤師会