新型コロナ感染の流行が、がん診療に及ぼしている影響

がん診療最前線
岡部寛先生

 新型コロナウイルスの流行が長引き、世界的にがん診療にも様々な影響が生じています。欧米諸国では日本より高かったがん検診の受診率が大きく低下し、米国ではその影響により新規のがんの発見率が半分以下に落ちています。


日本でも、昨年のがん検診者数は3割以上減少していると見込まれています。検診の延期や見送りは、医療機関側が緊急を要さない医療を制限する場合と、患者側が病院でのコロナ感染を懸念して受診控えすることの二つの要因があります。


 緊急事態宣言下では集団検診は延期せざるを得ない状況でしたが、受託医療機関の多くでは十分な対策を取ったうえで検診を再開しています。人間ドックなどの任意型検診も受診可能な施設が多くあります。定期検診を延期している方は、これ以上遅延しないように受診を検討してはいかがでしょうか。


 特に何らかの症状がある場合や、過去の検診で要精査だったのに精密検査を受けていない場合は、病気が見つかる確率が高いので早めの受診をお勧めします。


 また、海外ではがん治療の遅れによる治療成績の悪化も明らかとなっています。英国の最新の研究では、コロナ感染症による診断と治療の遅れにより、大腸がんで16%、乳がんで9%、食道がんで6%、肺がんで5%のがん死亡数の増加が見込まれています。日本では明確なデータはありませんが、昨年末の患者団体のアンケートでは、がん治療を受けている人の8人に1人がコロナ対応のために治療の延期や変更を経験したと回答しています。
 コロナウイルスの流行を抑えることは、必要な患者さんが滞りなくがん治療を受けられるためにも極めて重要です。ワクチンを含む対策で流行の抑制が図られることを願わずにはいられません。


新東京病院 消化器がん腹腔鏡・ロボット手術センター長 岡部 寛 先生


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