近年eスポーツの目覚ましい発展をよく耳にします。テレビゲームやパソコンゲームが競技化され、一説には全世界で1億3000万人の競技人口を数えるとか。
日本国内だけに限っても競技人口は約400万人と言われ、その中にはプロ選手も存在します。教育現場では部活動にとどまらず専門の高校まで設立されるようになりました。自身でプレイするだけでなく、高度なテクニックや華麗な技を見て楽しむ「ゲーム実況」も人気です。
さて、このように初めは個人や仲間内で楽しんでいたものが、スポーツ化、競技化されることでその裾野を広げ、世界や社会を変えていくことを考えるとき、注目したいものがあります。それは「防災スポーツ」です。
今年2025年は阪神・淡路大震災から30年の節目です。多くの犠牲者や被災者を出したその教訓から、後に住宅の耐震基準が改正されたり、「ボランティア元年」と呼ばれ被災地支援のあり方の指針となったりと、私たちにとって、記憶に深く刻まれると共に、様々な意味での学びや、変化をもたらした震災でした。
私たちはその後も、新潟中越沖地震や東日本大震災、能登半島地震などを経験する度に教訓が活きたかどうか考えてきました。たとえば現在では被災者のニーズと全国から来るボランティアとをマッチングさせる拠点としての「災害ボランティアセンター」が当たり前のように設置されるようになりました。
「防災スポーツ」は、突然起こる災害に対し助け合いながら生き抜く知恵を、楽しく正しく身につけることが出来る取り組みです。迅速さや正確さ、安全性やチームワークなどを競い合いながら高めていきます。

例えば「毛布担架障害物競争」では身近で比較的手に入りやすい毛布などで即席の担架を作り、負傷者を運ぶチームワークを実践的に高めます。「物資搬送リレー」では全国から大量に届く救援物資を協力して運搬し、限られたスペースに整理、収納する力を養います。「生き抜く術を楽しく学ぶ」その輪を広げていきましょう。
■K太せんせい
現役教師。教育現場のありのままを伝え、読書案内なども執筆する。