K太せんせいの放課後の黒板消し68

K太せんせいの「放課後の黒板消し」

 魂に込められたもの

 先日の甲子園を熱く沸かせた千葉県代表の市立船橋高等学校。その応援席で奏でられた楽曲「市船soul」は、市船運動部の試合中に演奏されるとチャンスが生まれ、勝利に導くと言われています。

 これは20歳という若さで亡くなった、かつて市船吹奏楽部員だったある青年が母校の応援のために作曲した魂の一曲です。楽曲に込められたソウル=魂に応援席が一つになり、大きなパワーが生まれる瞬間をテレビ画面越しでも強く感じました。

 さて、学校では運動部の応援に限らず「明るく優しい○○小っ子」や、「輝け!○○健児(勇ましい若者という意味)」、また「○○(多くは学校名)魂を受け継ぐ」といった表現が見られます。めあてや目標として大事にしたい姿勢や気構えを謳うものです。いずれにせよ「これだけは他には負けないぞ」という気持ちの表れと言えます。

 ですから、ここに学校名が冠されるとき、そこにはその学校の一員として、はたまた学校を代表する選手として、他校には負けないぞという意地、意志、プライドが生まれるのかもしれません。○○イズムと訳すと少し大げさかもしれませんが、○○スピリット(精神)が近いでしょうか。

 話は再び今年の甲子園。優勝校の監督がインタビューで述べられた「青春ってすごく密なので」という言葉が印象深く心に残っています。

3年間というわずかな時間にギュッと凝縮された高校生たちの熱い思い。そしてその魂のぶつかり合いに、私たちの心は感動させられているのかもしれません。一生懸命な姿、成果を得るために払われる日々の苦しい鍛錬。若者たちの熱い志しを想像するとき、見ている私たちまでも心を熱くします。

心に込められた熱いもの、魂とは・・自身の心の底をもう一度見つめなおしてみませんか。

■K太せんせい

現役教師。教育現場のありのままを伝え、読書案内なども執筆する。