●医療最前線ドクターリポート183

口・顔・頭の痛み外来について3

日本大学松戸歯学部は歯科学を「口腔科学(Oral Science)」と捉え、医学の一分科としての教育を展開。最前線で活躍する歯科・医科のスペシャリストに、医療現場の現在と未来について連載でリポートしてもらう。

日本大学松戸歯学部 口腔健康科学講座顎口腔機能治療学分野教授
小見山 道  先生

 日本大学松戸歯学部付属病院の「口・顔・頭の痛み外来」についてお話させていただいています。今回は頭痛についてお話します。

  頭痛はくも膜下出血や脳腫瘍の症状の一つとしても出現するので、慎重な対応が必要です。当外来では頭痛を訴えていらっしゃる患者さんの場合、必ず脳外科医が診察しMRIやCTできちんと診察しています。その結果、命に別条がない疾患だと判断した後、以下の頭痛であると診断され治療が開始されます。

緊張型頭痛

 頭痛の中でも最も頻度の高い頭痛です。頭部全体または両側のこめかみや後頭部などに長い時間にわたって続く、しめつけられるような痛みを訴えます。

  基本的に筋緊張や精神的な緊張と関係するため、歯ぎしり、くいしばり、同じ姿勢を続ける、ストレスなどで増悪しますが、首や肩の運動、蒸しタオルやマッサージなど、筋緊張や筋の虚血状態を緩和する理学的な方法で改善します。したがって治療としては、鎮痛薬の屯服に加えて、こういったホームケアや筋肉をリラックスさせるお薬で対処します。

片頭痛

 片頭痛は頭蓋内で生じる頭痛です。脳硬膜の血管に一時的に神経原性の炎症が生じるために起こる神経血管性頭痛です。

  悪心や嘔吐を伴い、体動によって悪化するので痛い間は寝たきりになります。また脈を打つような頭痛として特徴づけられます。頭痛に伴い同側の歯や顎関節がズキズキ痛む場合もあります。通常の鎮痛薬は無効であり、頭の血管を収縮させる働きのあるお薬で効果があります。

群発頭痛

 群発頭痛は目の奥や上あごの奥歯のあたりに激痛を生じます。これは目の奥にある大きな血管が神経原性の炎症で一時的に腫れるために生じるもので、人間が経験する痛みの中で最強、最悪と形容されます。

  一回の発作は15分から3時間持続しますが、発作が終われば全く痛みがなくケロリとしています。治療としてはお薬にて対応します。

  頭痛はその他にもたくさんの原因や疾患が考えられますので、症状がある場合は、来院して診察を受けて下さい。

※監修:牧山康秀(脳神経外科、頭痛担当)。


群発頭痛の発作時の様子。激烈な痛みの発作が生じ、服薬や酸素吸入により緩解します。

以上、口・顔・頭の痛み外来で取り扱う疾患についてお話してきました。もしご自分にあてはまるような疾患があり、長くお悩みでしたら、一度「口・顔・頭の痛み外来」にいらしてください。皆様の御来院をお待ちしております。

http://www.mascat.nihon-u.ac.jp/hospital/

■日本大学松戸歯学部庶務課 電話047・360・9567
戻る