●医療最前線ドクターリポート182

口・顔・頭の痛み外来について2

日本大学松戸歯学部は歯科学を「口腔科学(Oral Science)」と捉え、医学の一分科としての教育を展開。最前線で活躍する歯科・医科のスペシャリストに、医療現場の現在と未来について連載でリポートしてもらう。

日本大学松戸歯学部 口腔健康科学講座顎口腔機能治療学分野教授
小見山 道  先生

 日本大学松戸歯学部付属病院の口・顔・頭の痛み外来についてお話しています。前回の顎関節症に続き、今回はその他の痛みを伴う病気です。

三叉神経痛

 三叉神経痛はまれな疾患ではありませんが、一般開業医では歯髄炎と誤認され、非可逆的な歯科処置が行われることもあり注意が必要です。

  痛みは洗面、歯磨き、食事といった些細な刺激で誘発されますが、その強度は強烈です(図1)。ただし発作性で数秒間生じた後は全く痛みがなく、瞬間的な激痛が最大の特徴です。脳に異常を伴うこともありますので、当院では脳外科医による診断の上、薬でコントロールしますが、ときに頑固な病態も存在し、脳外科医による手術が必要になる場合もあります。


図1 三叉神経痛は、触ったり食べたりする刺激で、
顔面や口の中に電気が走るようにびりびりっと痛みが走ります。

  手術が受けられない場合などには定位的放射線療法(ガンマーナイフ、サイバーナイフなど)が有効な症例もあります。また食事や飲み物を飲み込んだときに痛む舌咽神経痛もまれにありますのでご注意ください。

舌痛症

 舌痛症は舌のぴりぴり(ひりひり)感を訴えて来院される患者様を総じて呼びます。しかしお話をうかがってみると「舌に癌があるのではないか」等の心配を相談される方が約半数です。

  また残りの方でも実際に舌に病変がある方は1%未満です。舌は体の中でも、触覚や痛覚が鋭敏なところですから、不安があると舌の異常な感覚として表現されるようです。

  実際に病変がなくても、ぴりぴり等の異常感覚を感じていらっしゃるのは事実ですから、症状をどうしてもなんとかしたい方には、過敏になった感覚を少しやわらげるお薬で対処しています。

  症状がなかなかとれず不安が強い方には舌痛症友の会に参加いただき、悩みを共有していただくことで症状の改善を図ることもできます。(図2)


図2 舌痛症友の会の様子。悩みを共有することで
症状が和らぐことがあります。

http://www.mascat.nihon-u.ac.jp/hospital/

■日本大学松戸歯学部庶務課 電話047・360・9567
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