ふれあい あごら

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発達に課題のある就学前の子どもへの支援A

市川市
福祉と教育の強い連携で
切れ目のない支援へつなぐ!

 前号で発達に課題のある就学前の子どもへの支援について、市川市の取り組みをご紹介しました。今回は、どの自治体でも抱えているであろう問題を取り上げようと思います。

 市川市では「巡回支援」と呼ぶ保育園、幼稚園訪問事業があります。園の希望に応じて、心理士や元幼稚園教諭等の専門家が、在園児を観察し、対応をアドバイスするというものです。

  私は聞き取り調査のため、複数の保育園、幼稚園を訪問し、園長先生や担任の先生方から現場の声を伺いました。その調査を通して、保育園、幼稚園には同じように発達障がいの子どもがいて、市からの支援を受けているにも関わらず、その評価が様々であることに驚きました。

  具体的にいうと、保育園では巡回支援を歓迎し、とても感謝している一方、一部の幼稚園では、アドバイスをもらって、余計にわからなくなったという声がありました。なぜなのか。その答えは、なんと役所の縦割り行政にあったのです。

  保育園は厚生労働省の管轄ですから、子ども政策部が担当し、保育園を訪問した時には、相談員は福祉的視点に基づいたアドバイスを行います。他方、幼稚園は文部科学省の管轄。よって教育委員会が相談員を派遣し、教育的視点によるアドバイスを行います。

  この事によって、アドバイスの内容にズレが生じていたことを見つけた私は、福祉と教育が一緒に情報を共有し、常に連携しながら支援していかなくてはならないと、はっきり認識しました。保育園に在籍していようが、幼稚園に在籍していようが、支援を必要とする子供たちには、その時その時で福祉的視点での助言が必要な時もあれば、教育的視点による助言が有効な時もあります。

  これは、一つの担当部署だけで解決できるものではない!本当の支援をするためには、市役所の縦割りの弊害を無くしていく努力が必要不可欠であると。そこで、私は東京都日野市発達・教育センター「エール」を視察します。そこは、まさしく福祉と教育が一体となって支援体制を作っている、全国の中でも先進的な取り組みを実現している所で、国会議員も視察に訪れている程です。

  私は次のステップとして、エール初代女性所長さんのお話に、多くのヒントを得たのです。今、市川市では福祉と教育の連携を強化するべく、動いています。今年度は、こども発達相談室における個人記録や発達評価などを電子カルテ化し、あわせて教育センターでも電子カルテ化を進め、保護者の負担軽減も図りながら、双方の支援者が子どもの情報を迅速に共有し支援できる環境整備を整えようとしています。

  村越市長は「特に発達障がいの子どもたちは、ライフステージを通じ、その障がい特性に起因するさまざまな困難に直面する可能性があり、切れ目のない支援が必要です。特に幼児期から学齢期への大きなライフステージの変化に伴って、さらなる福祉と教育の連携強化を行い、切れ目のない支援を目指してまいりたいと考えています」と話しています。次回は、縦割りの弊害を改善させる、もう一つの手法について、ご紹介します。

(寄稿:市川市議会議員 石原みさ子)

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