ふれあい あごら

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「自己肯定感を取り戻し、自立を養う」
千葉からも29人が在籍

東京シューレ葛飾中学の10年

 東京シューレ葛飾中学校をご存知だろうか。5月14日創立10周年記念イベントが開催され、参加した。東京シューレ葛飾中学校(通称シューレ中)は、教育特区を活用し、2007年4月、葛飾区内の廃校となった小学校の校舎を借りて開校した、不登校の子どもたちのための私立中学校である。

 5月1日現在、在校生122名、その内千葉県内から29名が在籍している。入学資格は不登校であること。クラスをホームと呼び1年生から3年生までの縦割り編成とユニークだ。教諭はスタッフと呼ばれており、1ホーム2名の担任制で、3年間受け持つ。また、ホームは4つあり、その中の一つは普段は登校せず、家庭を中心に過ごしたい生徒たちを対象としている。

 校長の奥地圭子さんは公立学校を22年勤めた元教師。自分の息子の不登校から深く学びフリースクールを作って22年になる。東京シューレ葛飾中は「子ども中心の子どもと作る学校」として多くの協力者を得て10年前に開校。「子どもが原点」を貫き、運営してきた。

 シューレ中学には、校則がない。制服もない。登校時間は朝9時40分とゆっくりめのスタートだ。首都圏に留まらず関東各地から2時間かけて登校してくる生徒もいる。例年、地方から家族ぐるみで転居して入学する生徒もいるという。週に3回、5時間目の後に「それ活」(それぞれの活動の略)の時間があり、スポーツやバンド等の音楽活動、演劇や美術、囲碁に写真等の様々な活動の場があり、生徒が選ぶ仕組みだ。


 毎年実施される三学年合同の修学旅行は、実行委員会を立ち上げ、行き先は生徒が投票で決める。入学式を「はじまりの会」、卒業式を「旅立祭」と言い、どの学校行事も生徒、スタッフ、保護者の手作り感が溢れ、アットホームな温かな雰囲気の中で執り行われる。卒業後の進路は普通高校、通信制高校、専門学校、就職と様々。これ迄の10年間で400名以上の卒業生を送り出してきた。

  今回の創立10周年イベント第二部では、一期生から十期生の10名の卒業生によるリレートークが行われた。「シューレでは好きな活動ができて、とても楽しかった」、「以前は失敗が怖かったけど、シューレでは失敗してもみんなが笑って許してくれる雰囲気があって、失敗してもいいんだと思えるようになった」など。

  社会人となり、あるいは母親となって、ハキハキと話す姿は頼もしく、在校生や保護者に大きな希望を与えてくれたに違いない。舞台の上の生徒たちは、ダンスに歌にと思いきり弾けている。会場にいる在校生、卒業生、保護者、スタッフ、みんなが笑顔で、明るい。学校って何だろう、教育って何だろうと改めて考えさせられる一日だった。

〇 入学の問い合わせ=東京シューレ葛飾中学入試相談係まで。電話03・5678・8171。
(寄稿:市川市/石原みさ子)

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