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発行日 毎月第1水曜日発行
更新日 2016年10月5日

トップニュース 2016年10月号

レオナール・フジタとモデルたち

仏・エソンヌ県所蔵の日本でいう国宝級4点の壁画も展示
《ライオンのいる構図》《犬のいる構図》《争闘 I》《争闘 II》

2017年1月15日まで DIC川村記念美術館


展覧会ポスターデザイン:川添英昭

 

 「乳白色の下地」と極細の描線で独自のスタイルを確立し、日本とフランスで活動した画家レオナール・フジタ(藤田嗣治1886-1968年)の「レオナール・フジタとモデルたち」と題した企画展が川村記念美術館で開催されている。同展は「モデル」という視点から作品を再検討し、職業モデル、身近な友人や妻、さまざまな都市で出会った人々に注がれた画家のまなざしをたどる企画展。


レオナール・フジタ《眠れる女》1931年
公益財団法人平野政吉美術財団
c Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2016  G0505

  フジタはヨーロッパ近代美術の歴史上、最も成功した日本人芸術家で、多様な主題、ジャンルで才能を発揮してきた。彼の画業の中心を占めるのが人物画。描かれた「モデルたち」を、そのプロフィールや制作の経緯、関連する出来事とともに振りかえる。

  初期から晩年までの約90点の作品を、描かれたモデルに関連する約150点の資料を交えて紹介。モデル研究の集大成として群像表現に挑んだ4点の壁画も展示されている。

  フジタの最初の妻、鴇田とみの実家は市原市。鴇田家の蔵から発見された書簡や写真などの一部も公開されている。


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■関連イベント
●講演会
※10月15日(土)13時30分〜15時。原田久美子(公益財団法人平野政吉美術財団 学芸員)「藤田嗣治と秋田―マドレーヌ鎮魂の美術館をめぐって―」。

l※11月26日(土)13時30分〜15時。 佐藤幸宏(美術史家、本展監修者)「フジタと裸婦―乳白色のヌードから群像表現へ」。

両日とも予約不要。定員50名。レクチャールームにて開催(13時開場)、入館料のみ。

●担当学芸員によるギャラリートーク
11月12日(土)、12月10日(土) 。予約不要、14時エントランスホール集合。定員60名。入館料のみ。

〇問い合わせ 電話043・498・2672。E メールticket@kawamura-museum.com
・会期:開催中〜2017年1月15日(日)。
・開館時間:9時30分〜17時(入館16時30分まで)。
・休館日:月曜(10/10、1/9は開館)、10/11、12/25-1/2、1/10 。
・入館料:一般1300円、学生・65歳以上1100円、小中高600円。
・会場:DIC川村記念美術館(佐倉市坂戸631。電話0120・498・130(代)
・主催:DIC株式会社


読者5組様にペア入館券プレゼント。「ふれあいプレゼント」参照。


 

 


 

こども食堂 つき〜佐倉市〜 
「梨たれ」「梨せんべい」〜白井市〜  
ふれあい あごら  

●地域の人たちの支え合いで子どもたちに笑顔を!

こども食堂 つき

NPO法人 ほっとすぺーす・つき

佐倉市


楽しく食卓を囲み参加者ら

 両親の共働きなど様々な事情で、一人で夕食を食べなければならない子どもが増えている。全国で広がりをみせている「子ども食堂」をぜひ佐倉市でも作りたい、とNPO法人 ほっとすぺーす・つきが今年4月に開設した。「誰かとたわいもない話をしながら食事をするというのは、実はとても大切なことなのです」と語るのは理事長の田代和美さん(43)。

  同法人は3年前に立ち上げ、子どもの居場所作り、ひきこもりの方への支援などを行っており、誰もがほっとできるスペースを月曜から金曜の15時から20時まで提供している。

  子ども食堂の開所は、毎週水曜の18時30分から19時30分。18歳までの子どもは100円、子ども同伴の大人は300円、大人のみは400円で提供している。保育園のお迎えの後にここで夕食を食べる親子もいる。

  食材はフードバンクや家庭菜園、2軒の農家などから提供してもらい、足りない分を購入している。料理を作るスタッフは全員ボランティア。地域のベテラン主婦も腕をふるっている。

  取材日のメニューはカレー。旬野菜の副菜も充実。「たくさん食べてね」とスタッフが声をかけると明るく笑顔を返す子どもたち。「ここに来ると心がほっとする。とても楽しい。将来は電気系の仕事に就きたい」と夢を語る小学6年生の男子。温かい人たちに囲まれて食べる食事は、一人で食べる食事の何倍も美味しいはず。

  同法人では、賛同してくれる方、会員・寄付も受け付けている。

  支援の輪が広がることにより、一人でも多くの必要な人たちの利用が増えることを期待したい。

〇佐倉市稲荷台1-17-1・2階。(京成うすい駅北口より徒歩3分)。子ども食堂の利用は要予約。

電話 043・235・8008

 

●研究を重ねた独自の味

主婦の手作り
「梨たれ」「梨せんべい」

白井市ふるさとまつりで販売(22・23日)


「梨は根本園さんからの提供です」と赤木さん

 梨の名産地である白井市。その梨を使って「梨たれ・河原子(かわらご)」と「梨せんべい」を商品化したのが主婦の赤木静香さん(63)だ。

  赤木さんはまだ十分食べられるのに傷や規格外などで、大量に廃棄される梨の存在を知り、何とか生かすことができないかと考えていたところ、地元の梨農家で作られていた「梨たれ」を食し、その美味しさに感動したのがきっかけで商品化を試みた。商品名の「河原子」は地名。

  古い農家の家屋を利用し15年5月に茶房「静庵(せいあん)」を開店。梨たれを使用したメイン料理、煮物や天ぷらなど手作りの家庭の味を生かした「静庵ランチ」(1000円)が評判を呼び、もっと多くの人に味わってもらいたいと同年10月に梨たれの商品化に踏み切った。

  「下ろし金ですりおろすからシャキシャキ感が出る」と赤木さん。7月から9月末位までが仕込みの時期。友人の応援を得て何百個もの皮をむき、ひとつひとつ手作業ですり下ろす。幸水、豊水、新高と梨の種類が変わると味も変化する。

  「梨たれ・河原子」はすり下ろした梨に味噌、にんにく、しょうがなどを加え、子どもにも食べやすいように香辛料や保存料は不使用。フルーティーな梨の風味で後味もさっぱり。このたれで肉を漬け込むと柔らかく美味しくなる。他にも野菜炒めの味付けやドレッシングに加えるなど様々な用途が可能だ。300ミリリットル350円。

  「梨せんべい」は梨たれとすりおろしたユズが入っていて、表面に砂糖をまぶし、小さく丸い梨形に成形。上品なさくさく感が後を引く。1袋350円。3袋で1000円。両商品とも通常は静庵のみでの販売だが、22日、23日に同市役所周辺で開催の「白井市ふるさとまつり」で販売される。

  静庵の営業は日、月、火曜。ランチ11時〜15時30分。完全予約制。白井市河原子190―7。(ナビに住所を入れても到着しません)。駐車場あり。電話090・2633・0521

 

●ふれあい あごら

子供たちが安心してSOSを発信できる地域社会を

ふれあい毎日では読者の皆さまの「あごら」への投稿をお待ちしています。

恐怖の9月1日

 新学期が始まって、ちょうど1カ月が過ぎました。私はこの数年間、9月1日を特別な思いで注視しています。その理由は、平成27年8月内閣府の発表により、18歳以下の自殺者が、過去約40年間の日別累計で夏休み明けの9月1日に最も多いとわかったからです。

 また、春休みやゴールデンウイーク等の連休明けや、学校の長期休業明け直後に自殺者が増える傾向です。(図1)この時期は、大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすい時期ととらえ、国は学校・地域・家庭での見守りの強化を指摘しています。

日本の自殺者数の推移

 警察庁の自殺統計を調べてみましょう。わが国の自殺者数は、平成10年以降、14年連続して3万人を超える高止まりの状態が続いていましたが、平成24年に15年ぶりに3万人を下回りました。そして平成27年は2万4025人となり、4年連続で3万人を下回っている状況です。

  性別では男性が69.4lを占めています。一方、厚生労働省発行「自殺対策白書」平成28年版によれば、日本の若い世代の自殺は深刻な状況にあり対策が急務と指摘しています。

  フランス・ドイツ・カナダ・アメリカ・イギリス・イタリア・韓国・日本の先進7カ国の15歳から34歳の死因と死亡率を比較したところ、死因の第1位が自殺となっているのは日本のみで、その死亡率も他の国に比べて高いという結果でした。このような状況は、国際的にみても深刻といえます。

小中高校生の自殺の原因

 小学生の原因、動機については、男子女子共に「家庭からのしつけ・叱責」の割合が高く、男子では50lを超えています。(図2)女子では、「親子関係の不和」も加わり、学校生活に関する原因・動機よりも、家庭生活に関する方が高いのが特徴です。中学生の場合、小学生では上位に挙がっていなかった「学業不振」「いじめ」の比率が高くなっています。

 高校生の自殺者の原因、動機は、「学業不振」「その他進路に関する悩み」「うつ病」が多く、将来への不安や勉強の厳しさによる悩みが大きいと予想できます。(図3)

対策として

 国は小中学生に対しては、学校、家庭、地域が連携して対策を行うことが重要だとしています。具体的には、保護者向けに児童、生徒の心理等について学ぶ機会を設けたり、学校現場に高度な知識や経験を有するスクールカウンセラーを配置する等の取り組みが、私の住む地域でも実施されています。

  大人はとかく、問題行動を起こす子どもを「困った子ども」と見てしまいがちですが、実は「困っている子ども」なのではないかという視点で対応することが大切なのではないでしょうか。

 高校生への対策としては、学業や進路の悩みに対し、きめ細やかなケアを行うと共に、生徒自身が対処法を身につけていくことの重要性を挙げています。

 貧困、虐待、いじめ。子供たちを取り巻く環境が厳しさを増す中で、息苦しさや生きづらさを抱えてしまうのは、当然ともいえるでしょう。そんな、苦しく辛い状況にある子供たちが救われるには、どれだけ身近に信頼して相談できる大人が存在するかにかかっているのではないでしょうか。子供たちが安心してSOSをいつでも発信できる、そんな地域社会を作っていけるかが、今問われているのではないでしょうか。(市川市・石原みさ子)


●内閣府統計出典
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2015/html/chapter1/chapter1_02_05.html