市川市内で鍼灸院を営む荒谷英二さん(65)は、「あそべ家すずめ」の名で落語を披露したり、人形作家として個展を開くなど、全盲とは思えないほど精力的に活動している。
生まれつき左目は見えず、弱視だった右目も40歳の時に網膜剥離で視力を失い全盲となった。子どもの頃から人を笑わせることが好きで、高校1年の文化祭で先輩の落語を聞いたのがきっかけで落語を覚え始めた。
「人前で披露するには最低300回は練習します。新しいものを覚えるには3、4カ月かかる。カセットテープを使って少しずつ覚えるのですが、目が見えない分、耳を研ぎ澄ますので、かえって声の表情がはっきり分かるんですよ」と荒谷さん。努力が実を結び、落語会はいつも大盛況。特に女性に人気があるという。
ここ10年はかっぱ専門の人形作家としても注目されている。濡らした新聞紙をこより状にして形を作り、乾かしたら色の付いた和紙を貼っていく。動きや配色は頭の中で描き、手先の感覚で作り上げる。そうして制作した人形は260体を超える。昨年市内で開催した「すずめと遊ぶかっぱ展」には10日間で約150人が訪れ、躍動感溢れるかっぱ人形を驚きと共に楽しんだ。
「落語も人形作りも自分の道楽。でも、どちらも人に喜んでもらいたくて。人のためにやることは力が出ます」と荒谷さん。今月12日(土)には同市大野町の本光寺のイベントで落語を披露する。
入場無料。定員50名。
〇イベントの問い合わせ 電話080・2132・8077(松田さん)