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発行日 毎月第1水曜日発行
更新日 2015年12月2日

トップニュース 2015年12月号

 

佐倉で描かれた少女たち

高橋真琴の原画展

世代を超えて楽しめる
kawaii文化を発信中

佐倉市立美術館 23日まで


《水辺のユートピア》2015年 作家蔵 (c)高橋真琴


 少女の絵でおなじみの画家、高橋真琴さんの原画展が佐倉市立美術館で23日まで開かれている。初期の原画から近年の大作まで約300点が展示されている。

  きらきらと輝く潤んだ少女の瞳、カールした金色の髪、画面いっぱいに散りばめられた花々、ヨーロッパを思わせる風景やお姫様など、美しい少女たちを描くことで有名。幅広い年齢のファンも多く、誰でも一度は目にしたことのある作家だ。おしゃれで可憐な少女の絵は高い人気を集め、読者の中には「マーガレット」や「少女フレンド」などの漫画雑誌の表紙や文具のイラストをみて憧れの気持ちで胸躍らせた方もいるはず。

  高橋さんは大阪生まれ、幼い頃から絵を描くことが大好きだった。少年時代に自宅近くの教会でアメリカ人少女を見かけた。初めて見た金髪がとても美しく、いつか描いてみたいと思った。

  その後「ひまわり」という雑誌で中原淳一、蕗谷虹児などの抒情画に出合い、絵の道に進むことを決心したという。53年に19歳でデビュー、29歳で佐倉市に移住、以後52年に渡り、その作品のほとんどを緑豊かなこの地で制作してきた。


「ショウワノート・パリジェンヌ・B5ノート」原画 1968年 (c)高橋真琴

  「自分が楽しんで作ると見る人にも伝わる」と高橋さん。81歳の現在も年に50〜60点の新作を精力的に描き続けていて、年に2度東京・銀座と、兵庫・西宮の画廊で新作展を開催している。

 今回描き下ろしの『水辺のユートピア』は印旛沼をイメージしてタイトルがつけられた。精緻な筆の中には、遊び心や物語が隠れている。いきいきとした小動物たちは実際に高橋さんが飼っていたシマリスなどが登場することもあるとか。海外のファッション雑誌や民族衣装の本からイメージを膨らませて、絵の中の少女が引き立つようにドレスや小物を描く。長年描いてきた世界が、少女文化に与えた影響は大きい。

 


『ブルータス』宝塚特集号表紙原画 2001年 (c)高橋真琴

 四街道から母子で来場した安井千春さん(55)は「懐かしい思い出がよみがえった。幼い頃、文房具などで美しい絵を楽しむことが出来た事は本当に贅沢なことでした」と振り返る。会場には原画のほかにイラスト入りのノートや色鉛筆などの文房具やハンカチなどが並ぶ。作品をもとに山田有梨江さんが県立佐倉東高等学校服飾デザイン科在学当時製作したドレスも展示。その美しさを立体的に体感できる。

  「真ごころの琴線にふれる絵を描いていきたい」と優しい笑顔でペンネームの由来を語る高橋さんの絵はいつの時代も少女たちに夢を与えてくれる。画業約60年にわたる高橋真琴の世界を訪ねてみてはいかがだろう。


来場者の少年に優しく語りかける高橋さん

観覧料一般600円、大学・高校生400円、中学生以下無料。
■「佐倉市立美術館」佐倉市新町210(京成佐倉駅南口から徒歩8分)。電話043・485・7851。


「コーリン色鉛筆・36色」

 


 

 

 

 

 

 


 

 


 


森のようちえん こどものじかん〜浦安市〜 
わたしたちのクリスマスコンサート2015〜八千代市〜 
読者からのおたより

●自然の中でのびのび遊ぶ 森のようちえん こどものじかんで

浦安市

 

 今浦安市内で園舎を持たない野外保育に取り組むが活動がある。身近な自然の中で子供たちを思い切り遊ばせる「森のようちえん こどものじかん」だ。

  NPO法人i-net(アイネット)が13年から活動を開始。子どもがのびのび育ち、たくましさも身につくと口コミで人気が広がっている。1950年代にデンマークで発祥、ドイツでは90年代から認可幼稚園として急速に普及、日本でも近年実践する団体が増えている。

 「浦安という土地での自然は限られたものだが、子どもの目線で見ると自然は案外多い。公園の茂みを探検して虫を捕まえたり、泥だんごでままごとをしたり、気がすむまで好きなように遊び切ることが重要」と、保育士で責任者の森沢典子さんは話す。

 先月13日の活動場所は浦安総合公園。この日は七輪で炭をおこした。「火は暖かいね。でも風の向きで煙の方向が変わるから煙を良く見て反対の方向に行こうね」と丁寧に会話。枯れた松葉や松ぼっくりをくべて炎が大きくなることやパチパチ焼ける音を体感。危険行為を避けるのではなく、大人の見守りのもとで経験を重ね、子どもは危険との付き合い方を学ぶ。

 4月から通っている小林大河くん(3)の母あずささんは「遊びがダイナミックになって驚いています」と半年間の成長を振り返った。雨の日でもレインコートと長靴を着用して屋外で遊ぶのが特徴の一つで「雨の日の遊び方が変わり、大きな発見でした」とあずささん。

 森沢さんは「しっかり遊んだ後は片づけも進んでするし、ごはんもよく食べ、すっきりした顔で過ごしているように思います」と話す。

 

 

 ▼毎週火・金曜9時30分〜13時30分。対象は2歳半〜未就学児。保育料1カ月1万6000円。別途登録料5000円(税別・保険代含む)。定員15名なので問い合わせを。電話047・350・8615(アイネット事務局)


わたしたちのクリスマスコンサート2015

 

〜想いをのせて〜

12月20日 八千代市


 市地域をつなぐコンサートとして02年にスタート。「今年は大切な思い出や平和への祈りを胸に選曲しました。」と語るのは県下在住の音楽家と市民らで組織する「文化・芸術・わたしたちのまちづくり」代表の飯塚千尋さん、ニ期会会員のソプラノ歌手。

  出演は飯塚さんほか、スペイン国家演奏家ライセンスを有するクラシックギターの又吉康之さん、バリトン歌手の斎藤渉さん、フルートの渡邊清香さん、ピアノの岩撫智子さんら。

 20日(日)13時30分〜、八千代市市民会館小ホール。自由席予約2000円、学生500円(当日券500円増)。指定席一律2500円。障がい者無料・要予約。電話・FAX 047・405・1558(飯塚さん)


http://watashitachi.arte-mille.com/

 

読者からのおたより

学力日本一 秋田県の教育
教員の熱意が自ら学ぶ力を養う

 紅葉の美しい11月、秋田県を訪れ、中学校を見学する機会に恵まれた。

 秋田県の教育といえば、子どもの学力が日本一高いことで有名だ。4月に実施された全国学力テストでは今年も小中共に上位を占め、日本一を継続中である。

 一体どんな取り組みをしているのだろうか。秋田市教育委員会で話を聞いた。秋田市教育ビジョンでは、東日本大震災を契機に、これからの学校教育には個性や能力を最大限に発揮して主体的に未来を切りひらく「自立」の力と、互いに支え合い高め合い、協働して社会を創造する「共生」の力を兼ね備えた人材の育成が求められているとし、三輪車に例えるならば、前輪を「徳」後輪を「知」「体」として、徳の部分を大切にした教育を実践しているという。

 県内人口が毎年1万人づつ減少していく中、次代を担う子供たちをしっかりと育てようという気迫が感じられる。そして、もうひとつ印象的なのは、「秋田では宿題はやるのが当たり前」という文化があるというのだ。小学校に入学するとすぐに一冊のノートが配られ、全員1日1ページ漢字でも計算でも好きな学習をして提出し、先生のチェックをうける約束だ。年間で一人が40冊位になり、自然に学び方や家庭学習が身につくというものだ。

 では、教員の環境はどうであろう。めざす授業のイメージとして、「分かった」「できた」を実感し、「もっと学びたいにつながる授業」とある。質の高い授業を担保するための秋田流の取り組みを二つ紹介しよう。まず、教員の研修制度だ。秋田では教科を超えて、様々な先生が授業を見に行く機会を持っている。常に人に開かれているといっていい。

  これによって、ベテランの先生は若手に技術を継承し、若い先生は自ら授業を改善するきっかけを得る。「座学の研修では、決してその人の授業が変わることはありません」という担当者の言葉に、最もだと納得した。

  二つ目は教育専門監の配置だ。各学校の主要教科には、教育専門監という教員がいて現場の先生たちのリーダー的存在となり、授業づくりの相談にのったりアドバイスをしている。

 今、秋田の先生たちは他県に劣らず多忙だが、教師を価値のある仕事と捉えているそうだ。そして何よりも、子供たちの頑張りに救われているという。真の教育とは「人と人との間で生まれること」を、再確認した。

●市川市 Nさん 50代女性)